観月ありさがバリキャリの警察官を好演!「Answer~警視庁検証捜査官」
観月ありさといえば「ナースのお仕事」を始めとした多くのドラマで主演を務め、30年連続で連ドラに主演したという驚異的な記録を持つ女優としてもおなじみ。そんな観月が初めて刑事役に挑んだのが、ドラマ「Answer~警視庁検証捜査官」だ。 【写真を見る】 当時、刑事ドラマに出演するのが夢だったという観月が本作で演じているのは、訳あってキャリア管理官から「検証捜査係」に異動させられることになった主人公・新海晶。「検証捜査係」(※本作に出てくる架空の部署)は、本来は誤認逮捕やえん罪などを防ぐために事件の再検証を行う重要な役目を負うはずだったのだが、新海が異動してきた当初の「検証捜査係」は、捜査一課が調べた事件の捜査報告書に目を通し、送致書に"検証済"のハンコを押すのが主な仕事...というありさま。 漢字フェチで書類の間違いを指摘することに生きがいを感じている薄井(松重豊)、一人娘を溺愛している小暮(片岡鶴太郎)、現場経験のない若手の長谷部(五十嵐隼士)という個性的な面々が揃う部署での彼らの呑気な日々が、新海管理官の存在によって一変することになる。 「ナースのお仕事」の朝倉いずみのような、明るくて少し天然な役を演じることが多かった観月だが、本作では妥協を許さず、滅多に笑わないバリキャリ管理官を熱演。納得するまで検証を続ける新海の存在をやや煙たがっている捜査一課強行犯係の永友を田辺誠一が、新海に好意を抱いていると勘違いされている唐沢を橘慶太が、新海を可愛がっている警察庁の長官を遠藤憲一が演じるなど、脇を固めるキャストと、回によって変わるゲストも多彩だ。徹底的に事件を検証し、誰の言うことも聞かないアクティブな管理官・新海が周囲を振り回す。 ■キリッとした佇まいで我が道を行く刑事を観月が好演 観月が演じたのは、ほぼデスクワークで書類とにらめっこする「検証捜査係」を変えていく新海だ。事件の再検証という部署の本来の役割を果たすべく、異動してくるなり、呆然としている部下を連れて現場検証に行き、柵を乗り越えて、火災のあった家に進入。永友(田辺)に「捜査一課の仕事に口を出すのは謁見行為だ」と言われても全く意に介さず、一課が見逃していた点を指摘して、事件を解決へと導いていく。 疑問を抱いたら徹底して検証していくのが、新海のやり方だ。 ある時は殺人現場を目撃した人の証言から、「夜にレースのカーテンだったのは不自然だ」と聞き込みをしたり、またある時には、交番の巡査が職務質問をした容疑者が男性なのにピンクの傘をさしていた点に目をつけたり、事件現場の家の冷蔵庫を見て疑問を抱いたりと、些細な違和感に目を付ける。事件を早期解決したい上層部や捜査一課はそんな新海を疎ましく思っているが、やがて永友も「何か気になることでもあるのか?」と自ら新海に聞くようになり、その手腕を認めるようになる。ちなみに新海の弱点は漢字。部署でボードに書き込もうとするものの漢字が書けなかったりと、間違った漢字をしばしば薄井(松重)に指摘されている。そんな可愛らしさも覗かせつつ、颯爽と事件と人間の心理に向き合う観月が新鮮だ。 ■ゲストにブレイク前の広瀬アリスや吉田羊、最終話には内藤剛志も出演 各回のゲストも本作の見どころのひとつ。予備校帰りに事件に巻き込まれる被害者を広瀬アリスが、車椅子のお金持ちの女性(江波杏子)のヘルパーを吉田羊が演じていたり、最終話には刑事役として安定の人気を誇る内藤剛志が意外な設定で登場する。 ボタンのかけ違いで歪んでしまった人間ドラマが描かれる中、ほっこりさせられるのは新海の部署の部下たちだ。脇を固める俳優陣のコミカルさと組織を変えるべく奮闘する観月の演技のコントラストも良い味を醸し出している。 文=山本弘子
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