メジャーで二刀流は実現不可能か?米メディアが検証
分業制が徹底されているメジャーリーグで二刀流は実現可能なのか。先日のドラフトで二刀流の可能性のある選手が上位で2人も指名され、今オフには日ハムの大谷翔平も上陸が予想されるメジャーでの可能性を検証する記事が掲載された。米スポーツ専門局ESPN電子版が伝えたものだ。 記事は「97年前にヤンキースは決断した。それは古い野球から近代野球へと変わる瞬間だった。最も素晴らしい打者を打撃にだけ集中させることにしたのだ。ベーブ・ルースが打者に専念した時が、二刀流の終わりの日であり、近代スラッガー誕生のときだった」と、二刀流がメジャーリーグから消えた経緯から説明。 「100年近くもベーブ・ルースのような二刀流は出てこないと思われてきたが、突然、二刀流の期待を持てる選手たちが出てきた」と続け、大谷と、レッズに全体2位で指名されたハンター・グリーン、レイズに全体4位で指名された左腕投手で強打のブレンダン・マッケイの名前を挙げた。 二刀流のメリットとデメリットを示すため、大谷に関してのシミュレーションが行われ「大谷は30球団が欲しがっているが、最終的に1球団しか獲得できない。もし、その球団が大谷を投手として獲得し、他の素晴らしい投手と同じように起用すると仮定してみよう」と、ドジャースの前田、ヤンキースの田中、レンジャーズのダルビッシュのNPB最終年の成績から、メジャーに大谷が来た場合の投手としての成績を予測した。 「サイヤング候補にも挙がるダルビッシュ、好調なときの田中、メジャー平均を上回る前田。大谷はこの3投手と、全てを比べることができる。仮に大谷が田中と同等の成績を挙げられるとすれば、180イニングを投げて75失点、選手の総合評価を示すWARは3.5と予測できる」 次に大谷が先発投手でありながら、打者としてもプレーすることが、投手成績にどれだけの影響を及ぼすかについて検証した。ESPNのミラー記者は、先発投手の登板間隔から影響度を予測した。 「先発投手は5人のローテーションが一般的だが、ポストシーズンでは中3日で登板することもある。この中3日で登板するときには投手の防御率が1点近く悪くなる。疲労と関連して、大谷の防御率が1点悪くなれば、彼は、1シーズンに20点多く失点することになる。そして、選手の総合評価を示すWARはおよそ半分の値になる」と、二刀流によって十分に疲労回復できない場合は、投手成績に影響が出ることを懸念した。 「登板間隔の休養が比較材料になるかは分からない。ただ、疲労からの回復という共通点があるだけだ。例えば、指名打者として出場する試合を、中4日のうちの2日間だけにすればどうだろうかということもある。メジャーの新しい環境に来てプレーするなかで、2つ目の役割が、どのような影響を及ぼすかなど分からないこともある。大谷は日本で外野手をしていたシーズンもあるが、そのときの投手成績は悪く、打者としてもよい成績を残していない」と書き加えた。 大谷を獲得するチームにとっては、二刀流による疲労蓄積から、投手としての成績が下がり、ケガのリスクが増えるというデメリットを頭に入れておかなければいけない、ということだ。