アルファタウリCEO、2023年マシンのサスペンション”独自開発”は間違いと反省。「あの判断は失敗だった。レッドブルのサスを早く採用していれば」
アルファタウリF1のピーター・バイエルCEOは、2023年シーズンを振り返り、姉妹チームのレッドブルからサスペンションを導入せずに開発を始めたのは間違いだったと語った。 【ギャラリー】知る人ぞ知る名車たち? 惜しくも勝利に届かなかったF1マシン10選 アルファタウリは2023年シーズン序盤、”AT04”の戦闘力がかなり低調で、苦しいレースが続いた。ただフロアなどアップデートが功を奏し、シーズン終盤には中団グループの争いに加わることになった。 なおアルファタウリは、シンガポールGPから姉妹チームであるレッドブルのマシン”RB19”のリヤサスペンションを採用したことで、マシンのリヤの安定性が向上。これがフロアの進歩を活用する助けにもなった。 アルファタウリの積極的なフロア開発はライバルの注目を集めたが、このレッドブル製リヤサスペンションの採用がランキング8位獲得の進歩に一役買ったことは間違いない。なおF1のレギュレーション上、他チームから供給を受けられるコンポーネントが定められており、サスペンションはそこに含まれている。 バイエルCEOはレッドブルのリヤサスペンションを早くに採用せず、独自に開発を推し進めてきたことが間違いだったと振り返っている。 「これらの重要なパーツを我々独自方法で進めるという、当初の決断は間違ったものだった。そして、その決断を下した者たちは、もう我々とは一緒に居ない」 バイエルCEOはmotorsport.comにそう語った。 「エンジニア達はなぜそれをしなければならないのか、常に多くの議論をしていると思う。ただ今はこのパドックの全員が、新しいレギュレーションよってフロアに大きくダウンフォースを依存する形では、フロアの次にサスペンションが最も重要なモノになると理解したと思う」 「フロアをやって、そしてサスペンションをやる。もしこのふたつが連携できていないなら、進めない方がいい」 レッドブルはこの2年間F1を支配してるチームだ。そのチームよりも賢くあろうとすることに意味はあったのか? そう問われたバイエルCEOは「それが今年の我々にとっての大きな学びだと思う」と答えた。 「だが同時に、カスタマーである我々にとって難しいのは、パーツを手に入れても、それを機能させる必要があり、それがとても難しいということだ」 「元レッドブルの空力エンジニアなどを採用した他のチームを見ても、彼らはすぐに成果を上げているかもしれないが、継続的な開発は見た目ほど簡単なことではない」 「シンガポールでは少し上手く機能しているように見えたが、我々にも確信はなかった。これは(テクニカルディレクターを務める)ジョディ・エギントンのチームの重要な側面のひとつで、彼らは全体的なコンセプトを理解するために多大な努力を注いでいる」 「あの(レッドブルの)マシンがあれほど安定していて、低速コーナーと高速コーナー、ストレートでこれほどの力を発揮しているのは、どうやっているのか? それはジョディとチームスタッフがブレイクスルーを経験した部分だった」 アルファタウリがレッドブルのサスペンションを購入するというのは、AT04の技術的な面から見て理に適ったものだ。 F1のレギュレーションが許す最大限まで、アルファタウリとレッドブルが緊密に連携するというのは、ただここには創業者亡き後レッドブルの責任者となったオリバー・ミンツラフが求めたことでもある。 エギントンはレッドブルとのシナジーのレベルが近年変化している理由を説明し、さらにチーム名の変更が予定されている2024年には2023年型のフロントサスペンションも採用することになると明らかにした。 「2019年以来、我々はシナジーという面で毎年なにか違うことをしてきた」と、エギントンは語る。 「その年によってもう少し頑張って違うことをしたり、(シナジーが)減ったりもする。来年、我々はリヤエンドを引き継ぎ、さらにレッドブルのフロントサスペンションをマシンに採用するつもりだ。つまり1年落ちのものだ」 「色々な理由から、少し違ったことをしてきた年もあった。だが我々はこうする(レッドブルからパーツを購入する)チャンスがあり、レギュレーションでそれが許されているため、他のチームがやっているように我々も行なうつもりだ」 なおレッドブルのサスペンションをアルファタウリのマシンで機能させることは難しいのかという点には、エギントンは次のように答えた。 「ああ、だが良い点も多くある」 「我々は来年に向けて新しいシャシーを設計し製造する上で、いくつかのパーツを採用するチャンスが有る」 「レギュレーションが変われば、少し違った考え方をする必要もあるだろう。だが我々は年ごとにそれを考えている」
Filip Cleeren