“持続可能”な競技とは。モーグルのメダリストが子どもたちに説く未来
4月5日から7日にかけて、北海道札幌市のばんけいスキー場で「UNIQLO WORLD MOGUL CAMP」が開催された。ユニクロがメインスポンサーとなって2年目。北京オリンピックのモーグル男子の表彰台に上がったウォルター・ウォルバーグ(スウェーデン)、ミカエル・キングスベリー(カナダ)、堀島行真(トヨタ自動車)の3人に加え、女子で金メダリストのジャカラ・アンソニー(オーストラリア)が参加した。子供らへのレッスンで重要視して伝えていたのは、ケガをしないための技術。モーグル=危険な競技という概念を覆そうとしているトップ選手たちの信念から、持続可能な競技とは何かを考えた。
その1本、1本が子どもたちにとって最上の時間となっていくのが分かった。 4月上旬、札幌には前週に降った雪が多く残り、春を感じさせる陽光に照らされたゲレンデは一層のまぶしさを放っていた。その中を幾重もの真剣な、生き生きとした顔が滑っていく。各班に分かれ、先頭を行く世界のトップ選手の後ろ姿を追うように、隊列を作り、フラットな斜面での基礎的な滑りから学んでいく。 いよいよ競技名の語源にもなったコブを滑り降り、ジャンプまで見せる試走の時間がやってきた。 先に滑り降りた堀島、ウォルバーグらが、ゴーグルを外してスタート地点の子どもたちに手を振って、ゴーサインを出す。 それぞれが、それぞれの課題を持って、力いっぱいに斜面を降りてくる。 「いいよ!」 堀島の声が雪上に響く。滑り終える度に、向かい合って、動きも交えながら改善点を伝えていく。その言葉をかみしめて、子供はまたゴンドラに乗ってスタート地点へ。 時間がある限り、子どもたちが斜面に挑んだ。先生役の一流選手たちも、動画まで駆使して、具体的な助言を続けていった。 2時間ほどの熱血レッスン。 「自分たちが選手でやってきた技術を伝えられるのは、すごく価値のあるものですね。(試技は)5本ぐらいでしたけども、上達がみられたと思いますし、僕が伝えた考え方から滑りのヒントを得て、今後ももっとよりうまくなることで、みんなも楽しくなると思うので。そういった姿を次に会った時に見せてもらいたいなと思います」 22年から参加して3年目。教える側として最も重視している事をより詳しく聞くと、このイベントの持つ価値が明瞭になっていった。