浅野忠信主演『レイブンズ』追加キャストに池松壮亮、高岡早紀 古館寛治は厳しい父親役に
浅野忠信が主演を務めるフランス、日本、スペイン、ベルギーの4カ国合作映画『レイブンズ』の追加キャストとして古館寛治、池松壮亮、高岡早紀の出演が発表された。 【写真】『レイブンズ』場面写真 本作は、実在した写真家・深瀬昌久の78年にわたる波乱万丈の人生、そして最愛の妻であり最強の被写体であった洋子との50年にわたる複雑で普遍的な愛を、実話とフィクションを織り交ぜて描いたダークファンタジーラブストーリー。本作の原題となった「Ravens」とは、カラスを執拗に撮り続けた深瀬の代表作「鴉」の英題である。 深瀬は、1974年に森山大道らとニューヨークMoMAの『New Japanese Photography展』で作品を発表し、妻の洋子やカラスを被写体にした作品で一躍時代の寵児となるも、たびたび酒に溺れ1992年転落事故で脳障害を負い、20年の闘病の末、2012年に亡くなった写真家。近年、欧米を中心に再評価が進み、2023年には東京都写真美術館で大回顧展が開催された。本編にも、深瀬の希少な写真作品や35mmフィルム作品が登場する。 監督と脚本を務めたのは、『イングランド・イズ・マイン モリッシー、はじまりの物語』のマーク・ギル。2015年に深瀬の作品に衝撃を受けたギル監督は、9年かけて映画化を実現させ、製作はVestapol、Ark Entertainment、Minded Factory、The Y House FilmsがTownhouse Media Filmworksと共同で行った。 ミステリアスな深瀬を浅野が演じ、本作が海外合作映画初挑戦となる瀧内公美が洋子役で共演する。 新たに出演が発表された古舘が演じたのは、北海道で老舗写真館を経営した深瀬の父親の深瀬助造。助造は戦争で心を病み、息子に厳しく接するしていく。池松は、60年代から晩年まで、公私ともに師を支え深瀬がアル中になっても見捨てなかった助手の正田役で出演。そして高岡は、泥酔する深瀬を見守りつつ、写真家としての才能を信じ続けた、深瀬行きつけの新宿ゴールデン街のバー「南海(なみ)」の店主役を務めた。 ギル監督と古館、池松、高岡からはコメントも到着した。 マーク・ギル(監督)コメント 古舘寛治について イギリスで公開された彼の作品はたくさん見ています。彼が助造の役を引き受けてくれたときはとても嬉しかった。寛治は深瀬の父親像に真に迫る迫力を与えてくれました。他のキャストと同様に私の脚本を彼自身のものにしてくれました。私は俳優たちがそのように脚本を自分のものにしてくれるのがとても嬉しいのです。 池松壮亮について 欧米の多くの観客と同様に池松さんを初めて観たのは『ラスト・サムライ』でした。 彼は小さいころから偉大な俳優になると誰もがわかっていました。池松さんは正田というキャラクターに温かさを与えてくれた。それは深瀬がたびたび陥る負の状態を際立たせたのです。 高岡早紀について 実際の南海さんはエレガントでとても格好いい女性です。なので、高岡さんは完璧な選択でした。また、私は映画に登場するすべての女性キャラクターに深瀬を畏れ敬って欲しくなかった。高岡さんは持ち前の知性でそこのところを上手に表現したと思います。 古舘寛治(深瀬助造役)コメント いつも同じことを言ってるが、自分が参加した作品を客観的に観ることは難しい。しかし『レイブンズ』はとても楽しく観ることができた。 外国の監督が日本で日本人の映画を撮るのはとても難しいに違いない。自分の理解しない言語だけでなく、知らない慣習や文化まで撮る必要があるからだ。しかし『レイブンズ』は日本人監督にはないセンスをしっかりと作品から醸しながらも、ちゃんと日本人を描いていた。 破滅的芸術家、深瀬昌久を余計なものを足すことも引くこともなく描きながら、ただの伝記に終わらずに、ギル監督がなぜ彼を映画にしたかったのかが最後にしっかり伝わってきた。いい映画です。ぜひご覧ください。 池松壮亮(正田役)コメント 『レイブンズ』という素晴らしい作品に参加できたこと、とても光栄に思っています。 深瀬昌久さんの人生と死生観を、静かに見つめるマーク・ギル監督の知性と勇気に感銘を受けました。その瞳を通した美や精神性は、静謐でクールでとても深い余韻をくれました。 深瀬さんの隣で長年を過ごした相棒のような役を演じさせて頂きました。 浅野さんとの共演はとても瞬発的で感覚的で愉快なものでした。 浅野さんと深瀬さんの時代を越えた奇跡の邂逅を特等席で見せてもらえて、とても幸せな時間でした。 高岡早紀(「南海」の店主役)コメント 浅野さんとは30数年ぶりの共演なので、再会はとても感慨深いものがありました。海外の監督が、日本人のカメラマンの生涯を描いている作品なので、客観的な感覚が、この作品を更に興味深いものにしてくれているのではと思います。
リアルサウンド編集部