ウクライナ出身初の新入幕、獅司が連日の出稽古で14勝3敗 二所ノ関親方に胸借り「うれシシ」
大相撲九州場所(10日初日、福岡国際センター)で、ウクライナ出身初の新入幕を果たす獅司(27=雷)が6日、福岡市の二所ノ関部屋に出稽古し、十両白熊、幕下花の海を相手に連続17番取って、14勝3敗と存在感を見せた。 前日5日から2日連続、二所ノ関部屋へ出稽古。前日も同じ2人を相手に13勝2敗だったが、この日も左を固めた立ち合いからの圧力で圧倒した。最後は二所ノ関親方(元横綱稀勢の里)に、ぶつかり稽古で約2分半、胸を出してもらい「横綱に胸を出してもらえて、うれシシ(獅司)」と、砂まみれになりながら笑顔で感謝した。 師匠の雷親方(元小結垣添)も「体が一回り大きくなった」と、四股などの地道な基礎運動が、圧力につながっていると分析する。事実、太もも回りの筋肉の盛り上がり方は、関取衆でも屈指。二所ノ関親方も、稽古後に「強いよ」と、胸を合わせたからこその実感を込めてうなった。日本語はつたないところもあるだけに、自身で成長を実感するところを問われると「アレのアレ」と回答。まだ、日本語の語彙(ごい)力がないことを自認しており「分からない時は『アレのアレ』って言う」と、冗談めかして補足した。雷親方は「(プロ野球阪神の)岡田(前)監督よりも先に、何年も前から言っている」と、笑って明かした。 二所ノ関部屋の新大関大の里とは、前日に続き、胸を合わせることはなかった。大の里は前日が二所ノ関親方との三番稽古で12番。前々日の4日が二所ノ関一門連合稽古で大関琴桜と連続20番をこなし、疲労回復にあてる狙いからか、この日は土俵に上がらなかった。それでも、福岡でも「よくラーメン食べてます。トンコツじゃない。しょうゆ」と、マイペースな日常を送り、気負いもなく、場所前の出稽古を打ち上げた。 新入幕力士は、初白星を挙げるとNHKのテレビ中継のインタビューに呼ばれるが、何を言いたいか聞かれると「やっぱり『うれシシ』。これ(を言っておけば)間違いない!」と、早くも来年の流行語大賞を視野に入れているかのように連呼していた。