英労働党勝利がポンドに最善、EU離脱ダメージ消えず-MLIV調査
(ブルームバーグ): 7月4日に投開票が行われる英総選挙(下院選)で最大野党・労働党が勝利すれば、ポンドにとって良いニュースになるだろうが、英国の欧州連合(EU)離脱のダメージは解消できそうにない。最新のブルームバーグ・「マーケッツ・ライブ(MLIV)パルス」の調査結果でそうした見方が示された。
英総選挙でどのような結果がポンドにとって最も良いか尋ねたところ、 回答者268人の半分以上が労働党の勝利を選好したが、圧倒的多数と過半数を少し上回る程度のどちらが最善かでは意見が分かれた。絶対多数政党不在の「ハングパーラメント」が最悪と答えた割合が最も多かった。
スターマー党首率いる労働党が圧倒的勝利を収める勢いが調査結果で示された。これは新政権発足が安定期の到来を告げ、英国資産に何年ものしかかっていたEU離脱の影響が取り除かれるのではないかというシティー(ロンドンの金融街)のアナリストらの期待を高めるものだ。
EUとの関係改善も労働党は公約に掲げており、貿易摩擦を緩和し、成長を促すと期待される。
それでも調査の参加者らは、英EU離脱のペナルティーがポンドから近いうちに取り除かれると楽観する理由はほとんどないと考えている。ポンドの対ドル相場が、EU離脱が選択された英国民投票の最終結果が発表される前の1ポンド=1.50ドル前後で再び取引されるには、5年より長くかかると約61%が回答した。
三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の欧州・中東・アフリカ(EMEA)リサーチ責任者デレク・ハルペニー氏は「保守党より内部分裂が少ない労働党がしっかりした安定多数を確保すれば、今後の安定改善を示唆するだろう」としながらも、「英EU通商関係の重大な変更は労働党にとって当面の優先事項となりにくく、ポンドの目先の上昇可能性は抑制されるかもしれない」と分析した。
MLIVパルスの調査結果によれば、労働党の勝利はポンドだけでなく、英国債と株価にとっても有益と57%以上が考えており、いずれの資産も労働党の大差での勝利を最も好ましいとする回答が一番多かった。