衆院選富山1区 「政治とカネ」で逆風 謝罪重ねた田畑さんの選挙戦
KNB北日本放送
おととい投開票が行われた衆議院選挙で富山1区では自民党で前職の田畑裕明さんが再選を果たしました。 「政治とカネ」が最大の争点となった今回の選挙で、自身の政治資金問題により逆境に立たされた田畑さんの選挙戦を振り返ります。 田畑さんの第一声「原点、初心に立ち返る信頼回復、そして大いなる反省の上に立ち なんとしても勝ち抜いて、皆さんと共に富山の明るい未来を作ってまいりたい」 5期目を目指す田畑さんは再選に向け強い危機感を募らせていました。 「信頼回復、田畑裕明」 今年に入り所属派閥からキックバックされた政治資金パーティー収入を政治資金収支報告書に記載していなかったことを認めて以降、都内で開催を予定していた政治資金パーティーの案内状に「入金のみ」の項目を設けたことが政治資金規正法の趣旨に反すると指摘されるなど相次いで自身の政治資金をめぐる問題が報じられ、有権者からの厳しい視線を感じていたためです。 身内からも批判の声があがり衆院選の公認候補に関する党員アンケートや予備選の実施が検討される事態にもなりました。 選挙期間中には「信頼回復対話集会」を開催。 応援弁士を入れず参加者の質問にじっくり答えるのが狙いでまずは地元、呉羽地区で開きました。 「皆さんにとって国会、そしてまた政治は魅力ややりがいのある仕事に見えるでしょうか?」 しかし、田畑さんは30分近くを演説に費やしていて、残りの30分ほどで質問したのは3人のみ。 政治とカネについての質問は出ませんでした。 翌日以降は参加者からの質問の時間を増やしましたが、支援者が中心の集会で厳しい声をあげる人は多くはありませんでした。 参加者「信頼していいんですよね?大丈夫ですよね?12年間の仕事ぶりを見てきてそれだけが引っかかっている」 田畑さん「信頼を頂きたいと思います、よろしくお願いします」 こうした雰囲気に異議を唱えたのが公明党の議員でした。 公明党県本部佐藤則寿代表「こんな生ぬるい、申し訳ないけれども、来なくてよかった」 公明党は今回、田畑さんの政治資金問題を受けて推薦を出すことに難色を示し、推薦を出したのは選挙が公示される2日前でした。 集会で、田畑さんの姿勢に強く反発しました。 佐藤代表「案の定 追い上げられてるじゃないですか。もう議員バッジ付けた気になっている 幸せですよ公明党では考えられない」 強い逆風が吹く中、期間中には何度も自民党の応援弁士が駆け付け田畑さんを応援します。 自見元地方創生担当相「田畑先生のような総務省で地方行政を知り尽くす人が国会議員でいてくれることが大事」 田村元厚生労働相「厚生労働委員長と部会長やったんですよね 私と全く一緒なんですよ 残ってるの大臣しかありませんから 今回当選すれば そういう声もあがるくらいの実力なのは間違いありません」 田畑さん「私に吹いている風 大変厳しい向かい風であります きょう6日目ですが 初日よりきょうの方が強いんです」 野党候補と大接戦だとする選挙戦の情勢を伝える複数の報道が流れると、陣営の危機感はさらに高まりました。 田畑さんは、支援者の前で頭を下げ続けます。 田畑さん「まだ勝利に届いていないんです。厚かましいですが、皆さんにお願いしたいのは、勝利のためにはあと皆さんおひとり5人に声かけいただけないでしょうか」 参加者「自民党 今のままにしていたら駄目だわ 自分たちのことばかり考えて れいわ新選組に入れる」 終盤には、別の選挙区の議員も応援に入り票集めに奔走する中、 田畑さんは「原点回帰」を訴え支持を呼びかけました。 田畑さん「原点に帰って、しっかり地に足付けた活動、もちろん選挙戦を、丁寧な謙虚な気持ちで臨まさせていただきました」「私の思いは届いたでしょうか。ぜひわたしに働くチャンスを与えてください。私をみなさんの一票でまたお力で国会に送り出してください。」 そして。 「ばんざーい、ばんざーい」 田畑さんは、立憲の新人候補との大接戦の末、738票差で辛くも当選しました。 当選後の田畑さん「ふるさと富山県の発展のため 皆さんと富山の新たな未来をつくるため 粉骨砕身 きちっと働いていくと誓います」 選挙戦までの混乱の代償は大きく、当選はしたものの7万票あまりを獲得した前回選挙から2万5000票を落としたうえ、立憲の新人候補の比例復活を許しました。 富山1区における白票などの無効票は前回選挙の2.9倍となる5400票あまりに上っていて、政治不信への影響が現れた可能性があります。 この結果を田畑さんはどう考えるのか。 武道キャスター「支援者の方の中には今回の選挙に関しては政治とカネのことに関し厳しい意見もあったかと思います」 田畑さん「前回 いただきました得票よりも相当数減ったと自分でも自覚しています」「いろんな意見があって、率直に受け止めさせていただいてしっかり奉仕者として、日本の発展のために尽くしていく。そういう気持ちでいっぱいです」 神林記者「今回当選したことでみそぎはすんだとお考えですか」 田畑さん「信頼回復の取り組みというのは、一朝一夕で解決するものではないと思っております。期間中も申し上げましたが、引き続きそうした謙虚な気持ちで信頼回復のための思いをもって丁寧に仕事をしていきたい、これで何かみそぎが済んだという気持ちではございません」 全国では自民が大敗しましたが、富山県内は自民が議席全てを独占しました。 「富山1区の議席を落とすわけにはいかない」という自民党富山県連のメンツを保った形になりましたが、取材を通して、この勝利は田畑さん本人への評価というより自民王国と言われる組織力の強さに助けられた印象を強く受けました。 あすは、復活当選を果たした立憲・新人の山登志浩さんの選挙戦を振り返ります。