「とにかく真面目。いや真面目すぎる」石川真佑を“プラス思考”に変える女子バレー眞鍋政義監督の試み「負のオーラを払拭してやろう」
石川の行動はすべてルーティン
余裕を持って5分前に朝食会場に行ったら、石川が先に並んでいたのだ。こんなに早く朝食に来る選手はそれまで見たことがない。 「えっ 真佑、おまえ何時に来たの?」「2、3分前です」「おまえ、こんな時間に 食べるのか?」「私、いつもこの時間なんです」 朝食一番乗りだけは、私も譲れない。翌日からはさらに早く行くことにした。すると、まだ石川は来ていなかった。観察していると、私が来る時間にかかわらず、石川は毎日ぴったり同じ時間に朝食に来る。話を聞いてみたら、石川の行動はすべてルーティンになっていることが分かった。まず朝起きると風呂に入る。それからストレッチ。そして6時40分には朝食。 そんな調子だから、練習のときも、試合のときも、きっちりルーティンが決まっている。スポーツ心理学でも、ルーティンを守ることで心が落ち着き、集中力が高まると言われている。 私もルーティンには効果があると思う。とくに“間”があるスポーツでは、メンタル面が重要。バレーボールでは、1ポイントごとにプレーが止まり、そのたびに5秒ぐらい考える時間がある。サーブを打つ前にも、レセプションの前にも時間がある。 そこで思考が乱れると、プレーも狂う。バレーはメンタルに左右される部分が非常に大きいスポーツなのだ。 マイナス思考の選手にとって、“間”は大敵である。プレーが止まっている間に、「ミスったらどうしよう」と考えてしまうからだ。負のイメージを持つと、次のプレーで はだいたいミスをする。その次のプレーでは、前のミスについて考えてしまい、さらにマイナス思考になる。 そうやって負のスパイラルに陥ってしまうと、もはやルーティンをやるだけでは復活できなくなる。監督としては選手交代しか打つ手がない。
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