「とにかく真面目。いや真面目すぎる」石川真佑を“プラス思考”に変える女子バレー眞鍋政義監督の試み「負のオーラを払拭してやろう」
石川をどうやって再生させるか?
その勢いのまま、2020年の東京オリンピックでも大活躍......となればよかった のだが、コロナ禍で1年延期となったのはご存じの通り。初戦で古賀が負傷したこともあり、石川への期待はいやが上にも高まった。それがプレッシャーになったのか、 ここぞという場面で決めきれない姿が目についた。 一番気になったのは、やはり予選ラウンドの韓国戦だ。日本が先にマッチポイントを握った場面。セッターの籾井あきが頼ったのが石川だった。連続して石川にトスを上げるが、石川が決めきれず、日本は逆転負けを喫した。もちろん、石川に敗戦の責任を押しつけるつもりはない。ただ、「あそこで石川が決めていれば......」という印象が 残ったのも事実。あれ以来、彼女にはどこか負のオーラが漂うようになってしまった。 しかし、石川の才能は古賀、井上に匹敵する。さらにジャンプサーブという強力な武器を持っている。年齢的にもまだ若く、パリはもちろん、その次のロサンゼルス五輪でも日本の大黒柱になるべき選手だ。石川をどうやって再生させるか? それは日本代表の未来を左右する重要な課題と言えた。
第一印象はとにかく真面目
2022年4月、Vリーグのシーズン終了に合わせて代表候補を招集した。私が石川とじっくり話をしたのは、そのときが最初である。第一印象はとにかく真面目。いや真面目すぎる。練習に取り組む姿勢が真面目なのはいいが、行動の“ルーティン” がすべてきっちり決まっていて、それを頑なに守るのだ。 野球のイチロー選手が打席に入るとき、必ずバットを前に掲げて袖を引っ張る動作をしていたのを覚えているだろうか。あれがいわゆる“ルーティン”である。イチロー選手の影響もあり、多くのスポーツ選手がプレーの前にルーティンを採り入れるようになった。 私にも監督として守っているルーティンがある。それは朝食の時間だ。合宿のときは必ず一番乗り。6時 45分から朝食を食べるようにしてきた。今回、5年ぶりにナショナルトレーニングセンターで合宿に入った初日、いきなり私を驚かせたのが石川真佑だった。
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