どうなる?肘故障した大谷翔平の今後。その最悪と最良の復帰シナリオとは?
その可能性は十分にあり、今年4月、チームメートのJC・ラミレスがそうした経緯をたどり、トミー・ジョン手術(側副靱帯再建手術)に踏み切った。先程触れたように、PRP注射の効果は認められるようになったものの根本的な解決策ではない。 仮に手術ということになれば、最低でも復帰まで1年はかかる。もちろん個人差はあるが、先発投手ならば、14か月は覚悟が必要。2015年3月に同手術を受けたダルビッシュ有(カブス)の場合も14か月だった。 8月に手術をすれば、おそらく来季も棒に振ることになる。投手としての復帰は2020年4月か。今すぐ手術をすれば、来年8月には復帰可能かもしれないが、いずれにしても3週間は様子を見て、その後が決まる。 その一方で、打者・大谷にはどんな影響があるのか? エプラーGMは8日、電話会見で、「(靭帯を損傷していても)指名打者なら出場可能」という認識を示したが、当面は、打つことによってケガを悪化させる可能性を否定出来ないので、打者でも出場させないーーという方針。あくまでも、投手としての復帰を優先し、その目処がついてから、打者としての復帰を探るということのよう。 しかし、8月に手術した場合、投手としては来季絶望だが、トミー・ジョン手術を受けた野手が復帰に要する時間は、早ければ6か月、通常は8~9か月なので、打者としては手術を受けても来年の開幕に間に合う。 であるなら、来季は打者に専念するという選択肢はあるのか。 それでは投手としてのリハビリが疎かになる、あるいは、リスクを伴うという捉え方もあるが、打撃が可能な選手ーーしかもクリーンナップを打てる打者を、1年間も起用しない、ということがあるのだろうか。 もしそうだとすれば、それこそが、ワーストのシナリオか。前例がないことなので、エンゼルスも大谷本人も、今後のシナリオを慎重に考えているはず。 できるだけリスクを排除しながら、どう大谷を生かすか。そこでは二刀流の起用法同様、クリエイティブな発想が求められるのかもしれない。 (文責・丹羽政善/米国在住スポーツライター)