歯の治療を受けるならクスリに注意(2)【抗凝固薬/抗血小板薬】抜歯で出血が止まらなくなる可能性
心臓や血管の病気があったり血栓の産生を予防する目的で「血液をサラサラにする薬」を服用している人は、歯科治療で注意が必要だ。 歯を削らない虫歯治療はここまで進化している…ドリルも麻酔も不要 血液をサラサラにする薬は「抗凝固薬」(ワーファリン、DOACなど)と「抗血小板薬」(バイアスピリンなど)の2種類があり、日本では約700万人が使用していると推定されている。 心筋梗塞や脳梗塞などの予防や、静脈血栓塞栓症の治療、心臓弁膜症で人工弁置換術を受けた人にも使われる。 日頃からそれらの薬を服用している人は血液をサラサラにする作用によって、抜歯などの出血を伴う外科的な歯科治療で出血が止まらなくなるリスクがあるのだ。小林歯科医院院長の小林友貴氏は言う。 「そのため、かつては治療前に薬を処方している担当医に確認し、一定期間だけ休薬してから外科治療が行われていました。しかし、歯科治療のために休薬したことにより心筋梗塞で死亡した事例や、抗凝固薬を中断すると1%が重篤な血栓塞栓症を発症するといったデータが報告され、休薬はリスクが高いことがわかりました。そこで現在は休薬せずに、止血を徹底したうえで外科治療が実施されています」 抜歯した際の止血の方法は、まず抜歯後にできたくぼみに止血剤を入れて丁寧に縫い合わせ、さらにガーゼを15~20分ほど強めに噛んでもらう。 通常であれば5分程度だが、抗凝固薬や抗血小板薬を服用している患者は長めに噛むことでしっかり圧迫して止血する必要があるという。 「ただし、複数の抗凝固薬や抗血小板薬を服用している患者さんや、血液の凝固因子の活性を総合的に判定する検査の数値を見て止血が難しいと判断される場合は、歯科治療を見合わせるケースもあります」 血液をサラサラにする薬を服用している人が歯科治療を受けるときは必ず、お薬手帳を持参し、治療前の問診で既往歴や服薬の状況を正しく伝えること。自己判断での休薬は絶対にやってはいけない。 =つづく