【1986年・4歳牝馬特別】メジロラモーヌ「初の牝馬3冠」が見えた瞬間 新星ダイナアクトレスを完封
【記者が振り返る懐かしのベストレース】2000年まで4歳牝馬特別の名称で行われてきたオークストライアル。昔は桜花賞馬も積極的に出走しレベル、注目度ともに高い水準にあった。 フローラS=4歳牝馬特別で印象深いのが1986年の勝ち馬メジロラモーヌだ。彼女のキャリアの中で特に衝撃を受けたレースが2つある。ダートで3秒1ちぎった新馬戦とその後の飛躍が確実と思った当レースだ。 4歳(現3歳)を迎えてイレ込み癖が目立つようになり、レースでもひっかかり単枠指定のクイーンCで4着に敗れた。魔の桜花賞ペース(5ハロン58秒1)に乗ったクラシック1冠目こそ制したが、距離延長に一抹の不安があった。 しかし、それも杞憂に終わる。新星として注目されたダイナアクトレス(調教再審査で桜花賞不出走)との対決に注目が集まり、東京競馬場には大観衆が詰めかけたが、レースは桜花賞馬の強さだけが際立った。桜花賞とは対照的に5ハロン通過62秒6と緩めのペース。馬群の中団で鞍上・河内洋と呼吸ピッタリに折り合うと、先頭に立ったアクトレスをあっさり1馬身半差し切った。その走りに「東京のスローでもこんなに落ち着いた、強い競馬ができるのか」と改めて感心したものだった。 同時にオークス→エリザベス女王杯と続く後の2冠制覇、つまり初の牝馬3冠達成がハッキリと見えた瞬間だった。 ちなみに、メジロラモーヌと聞いて思い出すのは、担当していた腕利きの名厩務員・小島浩三(小島太調教師の親戚)。当時は20代の若手だったが、ラモーヌを育てたのは彼だったと言っても過言ではない。名馬の陰に名厩務員あり。馬の力はもちろん、人の力を再認識させられたレースでもある。(2012年4月18日付東京スポーツ掲載)
東スポ競馬編集部