天敵温存植物「クレオメ」で害虫からトマトを守れ…野菜班の高校生が育てた苗配る 農家「農薬減らせる。ありがたい」
鹿児島県さつま町虎居の薩摩中央高校生が、トマトの害虫を捕食する天敵昆虫の導入に欠かせない植物クレオメを育て、地元農家に配った。天敵による防除は薬剤使用を抑え、コスト削減や安心安全な生産が期待できる。県内の高校生が、天敵温存植物を栽培して配布する試みは珍しい。 【写真】生徒が採集したタバコカスミカメ(薩摩中央高校提供)
トマトの施設栽培は、葉の汁を吸ったりウイルスを媒介したりする、害虫コナジラミ類、アザミウマ類の防除が課題。対策の一つとして、天敵昆虫タバコカスミカメ(体長3.5ミリ程度)の導入が有効とされ、ハウス内で定着させるために餌となるクレオメなどの配置が必要という。 クレオメを栽培したのは生物生産科3年の野菜班4人。地域農業の課題解決に取り組んでおり、カスミカメの導入普及を目指す県や町、JA北さつまの依頼を受け、天敵温存植物について理解を深めながら9月から配布用を育て始めた。 当日は、JA北さつまトマト部会の生産者10人に苗10鉢をそれぞれ配った。副部会長の楠元伸一さん(51)は、昨年度からカスミカメを導入して効果を実感する一人。「農薬使用を抑えることで、散布作業も減らせる。会員にも広めたかったので、高校生の協力はありがたい」と感謝した。 野菜班の小島脩太郎さんは「これまで天敵温存植物について知識がなく、勉強になった。生産者の負担軽減につながればとの思いで大事に育てたので、役に立てばうれしい」と話した。
南日本新聞 | 鹿児島