遊び心が香る茶道具見て 竹人形職人・山田信雄さんがあわら市で初個展
福井県あわら市金津創作の森に入居する竹人形職人、山田信雄さんが、約20年にわたり制作してきた茶道具「香合」45点を紹介する初の個展が、市細呂木公民館で開かれている。アジサイやカボチャなどの植物、祇園祭の山鉾(やまほこ)、箒(ほうき)の形など、手のひらサイズの容器には遊び心があり、竹人形の小道具作りで身に付けた技術がふんだんに使われている。「竹工芸の発展、継承のためにも、竹香合の後継者を育て産地化していきたい」と夢を語る。 香合は、香を入れるふた付きの容器。陶磁器、漆器、貝、金属などさまざまな素材で作られる。茶会では香合を鑑賞することもあり、デザイン性も重要だという。 山田さんは1986年に坂井市にあった越前竹人形の里に入社し、95年に独立。創作の森に入居した99年、県内茶道具問屋から竹の香合作りを提案され、制作を始めた。その問屋から茶道の知識や道具の作りを学んだため恩を感じ、ほかの業者からの誘いは断ってきたという。 最初の作品「笹(ささ)ぼたる」は長さ12センチ、幅3センチ、高さ1・5センチ。笹の葉の容器に小さな蛍がとまっている。「完成した竹香合を見て問屋さんが感心して驚いてくれたのがうれしかった」 鵜(う)飼いの船のほか、箒の形の容器に魔法使いの帽子のふたをのせた斬新な作品もある。傘の香合は傘寿の祝いの席で人気だという。70種類近い作品が生まれ、「アイデアは無限大。人形の小道具で作ってきた昆虫や花、楽器が主役になって面白い」と話す。 展示は10月末まで、平日午前9時~午後4時半。問い合わせは同公民館=電話0776(73)2151。