「新鮮だから大丈夫!」鶏肉をレアで食べる人が知らない恐ろしすぎるリスク
● 親がレバ刺しを食べたら 知らない間に子どもにうつる!? 2012年7月にレバ刺しが禁止になる直前、飲食店での駆け込み需要が起こり、腸管出血性大腸菌食中毒が多発しました。この菌は怖い面があり、感染しても不顕性感染といって、症状が表に出ない人がいます。しかし、便として排出するのです。しかも、ごく少数の菌で感染力を持ちます。そのため、レバ刺しを食べた本人は感染に気づかないまま家族にうつしてしまい、抵抗力の弱い子どもに深刻な症状を引き起こす、ということが起こりえます。 そうした怖さが一般の人たちには伝わらないまま、残念なことに未だに保健所などに隠れてレバ刺しを提供する店がある、とよく聞きます。 ● 「新鮮だから安全」は 完全な間違い 牛肉の生での提供が規制され、豚肉と豚レバーもE型肝炎ウイルスなどを防ぎきれないことから、生食での提供は禁止されました。一方、規制されていないのが鶏たたきや鶏刺しなど鶏肉の生食料理です。 厚生労働省が毎年まとめる食中毒統計において、原因細菌の中でもっとも事件数が多いのがカンピロバクター。鶏肉の生食料理や加熱不足の焼き鳥などにより患者が多発しています。カンピロバクターも生きた鶏が普通に保有していて症状は出ません。鶏肉の中心部まで75℃以上で1分間以上火を通せば肉は白くなり、カンピロバクターが死んで安全に食べられます。 ところが、一部の地域で食べられていた鶏たたきや鶏刺しなどの生食習慣が全国的に広がり、飲食店で提供されるようになってしまいました。古くから生食されていた地域は、特別なガイドラインを設定してカンピロバクターに汚染されていない生食用の鶏肉を生産しています。 しかし、他地域でガイドラインが適用されていない加熱用の鶏肉が生や加熱不足で食べられ事故につながっています。時々焼き鳥屋さんなどで「新鮮だから安全」というお店があったりしますが、完全な間違いです。カンピロバクターという細菌は空気を嫌うので、面白いことに空気に触れていると増殖できず死んでゆく。逆にいうと、空気にまだそれほど触れていない新鮮な鶏肉は、カンピロバクターが元気かもしれません。