「退職金の中から寄付してくれと…」進むジリ貧国立大学事情「今ここにある危機」を大学関係者が警告
なぜ大学は経営難になっているのか…
「大学の貧困」を耳にして久しい。 昨年、東京藝術大学が光熱費高騰で練習室のピアノを撤去して売却することが話題になったが、娘が通っていた国立大からは学生の親向けに寄付の依頼が度々来ていたし、自分が卒業した国立大にはいつの間にか敷地内に民間の専門学校が入っていた。 【画像】偏差値72の現役慶大生・輝星「私が就活せずにYouTuberガールズバンドに入った理由」 調べてみると、国立大学は’18年度から規制緩和により土地貸し出しが可能となり、東大や東京医科歯科大、長崎大、九州大、東京農工大、東京海洋大など様々な大学において、駐車場やオフィス、老人ホームなど多様な活用法が進められているようだ。聞こえは良いが、家賃収入をアテにせざるを得ないほど経営難ということだろう。 確かに、少子化は悪化の一途をたどっている。しかし、国立大の授業料は自分が大学生だった’90年代前半に年間40万円前後だったのに、今は年間60万円超。賃金は全く上がらない状況で、国立大授業料は上がり続けているのに、なぜ大学は経営難になっているのか。 大学が直面する危機を克服するための道を探り、行動する「大学フォーラム」に取材依頼したところ、東京大学のA教授、東京農工大学のB准教授、鳥取大学のC准教授、都内国立大学の事務職員Dさんが応じてくれた。そこで語られたのは、大学に行った人も行かない人も、子どもがいる人もいない人も誰もが巻き込まれる可能性のある不穏な未来の話だった。 ◆退職する先生にも、退職金の中から寄付してくれと… 「寄付をしろというのは、学生の親に対してだけでなく、大学から給料をもらっている我々教職員にも回覧メールがよく来るんですよ。 寄付金は大学の施設費や学生の奨学金や留学生支援金などに使われるということで、私も一応趣旨に賛同して寄付しています。 でも、それは例えばヨーロッパの大学などではEUの欧州社会基金などでやっていることで、なぜ寄付に頼るの? と思います。しかも、寄付できるほどの給料をもらっているかというと、大学全体の予算が削られている中ですからね」(A教授) 「退職する先生にも退職金を渡しているにもかかわらず、退職金の中から寄付してくれと言いますから。人によっては10万円とか100万円くらい寄付して、ネームプレートなどが壁に貼られるようになっています」(B准教授) ◆毎年減らされている交付金 その退職金自体も、昔に比べると500万円ほど安くなっているのはザラだとか。「退職金でマイホームのローンを完済しようと思っていたところ、結局、家を売り払うことにした」といったケースもあるそうだ。 大学はいったいいつから、なぜ貧困化しているのか。