WNBAの人気拡大を牽引するケイトリン・クラーク、新人として史上初の月間MVP受賞&チームを7年ぶりのプレーオフ出場に導く
「プレーオフ出場は素晴らしいことであり、達成感もある。ただ満足してはいない」
女子プロバスケットボールリーグのWNBAは、レギュラーシーズンもあと2週間程となり終盤戦に突入する。今シーズンのWNBAは過去最高クラスの盛り上がりを見せているが、その原動力となっているのが大物ルーキーのケイトリン・クラークだ。 昨シーズン、アイオワ大で全米を熱狂させる大活躍を見せたクラークは、今年のドラフト全体1位指名でインディアナ・フィーバーに加入した。フィーバーの試合はホーム、アウェーを問わず彼女目当ての観客が殺到し、コート内外を問わず常にスポットライトを浴び続けている。このような状況でバスケットボールに集中するのは簡単なことではないが、クラークは1年目からリーグ屈指のパフォーマンスを見せている。 シーズン序盤は大学とWNBAのレベルの違いに苦戦する場面も目立ち、チームも開幕5連敗を含む1勝8敗スタート。しかしクラークは試合を重ねるごとにWNBAの激しさにアジャストしていき、チームも右肩上がりで調子を上げていった。パリ五輪による中断期間前は11勝15敗だったフィーバーは再開後に連勝を続け、現地9月4日終了時点で18勝16敗と勝ち越しに成功し、2016年以来となるプレーオフ進出を決めている。 フィーバーは2017年シーズンから昨シーズンまでシーズン負け越しが続いていた。ここ3シーズンで見ても2021年は6勝26敗、2022年は5勝31敗、昨年は13勝27敗と低迷していた。昨年のドラフト全体1位指名のアリヤ・ボストンら若手選手たちのステップアップも目覚ましいが、クラークの存在こそがフィーバー躍進の一番の要因であることは間違いない。 クラークはここまで34試合で平均35.5分出場。18.9得点、リーグ1位の8.4アシスト、5.8リバウンドと、新人ながらトップクラスのプレーを見せている。8月は6試合で平均24.0得点、8.5アシスト、5.2リバウンドの大暴れでチームを5勝1敗に導き、リーグ史上初めてルーキーとして月間MVPを受賞するという快挙を達成している。 相手の徹底マークを受けながら大学時代と変わらないハイパフォーマンスを発揮し、チームをプレーオフ出場に導いた。1年目として申し分のない功績だが、彼女にとっては通過点に過ぎない。「今の位置にいることは、私たちにとって大きな瞬間であることは間違いない。ただ、同時にこうなることを期待して戦ってきた。プレーオフ出場は素晴らしいことであり、達成感もある。ただ満足してはいない」 クラークは「私たちは一戦一戦、前に進んでいけるチームだと思う」とさらなる進化に自信を見せる。現在のWNBAは、ブリアナ・スチュワート、サブリナ・ヨネスクーのアメリカ代表コンビを中心としたニューヨーク・リバティが27勝6敗の最高勝率。フィーバーは上位陣とは差があるが、パリ五輪の中断明けに限れば7勝1敗と絶好調だ。大学時代に大一番での勝負強さを何度も見せているクラークを中心に、ダークホースとして波乱を起こせるか楽しみだ。
バスケット・カウント編集部