地域リーグからF1復帰した“ブレイク候補生”!物腰柔らかな26歳苦労人・田中晃輝の等身大の生き様|フットサル
【Fリーグ】バルドラール浦安 5-1 立川アスレティックFC(11月17日/ バルドラール浦安アリーナ) 【映像】バルドラール浦安の強さの秘訣!指揮官がシーズン中に全部ぶっちゃけ! 優勝を争うチームに“静かなる闘将”が生まれようとしている。バルドラール浦安のフィクソ・田中晃輝だ。小宮山友祐監督が「対ピヴォへの対応はリーグ屈指」と絶大な信頼を寄せる田中は11月17日、ホームで迎えた立川アスレティックFC戦で今シーズン初ゴールをマークした。「僕はまだまだ」と謙遜する26歳が、一皮剥けようとしている。
パスが来た瞬間に決断した“ノールック”ゴラッソ
立川戦は、浦安にとって攻守のあらゆる狙いがハマった試合だった。 序盤こそスコアを動かせなかったものの、守護神ピレス・イゴールが敵陣まで持ち上がる“GK攻撃”で切り崩した。相手の狙いの逆を突く形で18分に先制点すると、相手のキックオフ直後に猛烈なプレスでボールを奪ってショートカウンターから追加点を挙げ、第1ピリオドに2点をリードして試合を折り返した。 26分に現在リーグ得点ランキングを独走するエース・本石猛裕が追加点をマークすると、28分には染野伸也が今シーズン初ゴールを決め、ホーム、バルドラール浦安アリーナは熱狂に包まれていた。するとその41秒後、会場のボルテージがさらに上がる得点が生まれる。 イゴールが中央から斜め左へ低い弾道の鋭いパスを送ると、ゴール左の角度がない位置の田中は、これをダイレクトで捉えた。そのインパクトとほぼ同時に、ボールはサイドネットへと突き刺さる。田中は両腕を突き出して一瞬の雄叫びを挙げると、集まってきた仲間から勝負を決定づけるゴラッソへの祝福を受けた。 「あの時はゴールを見ていなくて。イゴールからのいいパスが来た瞬間に、ワンタッチで打とうと決めました。いつもはボールが来てからどうしようと考えてしまうところ、すぐに決心ついたことが良かったですね」 そう振り返った後、こう続ける。 「でも、簡単なシュートを外しちゃうんですけどね。それも含めて今の僕です……」 バツが悪そうに苦笑いしたのは、実はこの試合、残り4分の場面で左サイドの菅谷知寿から“どうぞ決めてください”というメッセージ付きのパスを受けながら、中央右でフリーの田中が外してしまったからだった。 「今シーズンはこれまで、もう10点くらいは取れるチャンスがあったのに、ことごとく外してきている。今日ももう1点取れる場面があったので。もっと点を取れよって(笑)」(小宮山監督) 記者会見で指揮官がそんな叱責を飛ばし「シュートの精度は課題」と話していたが、同時に「まず彼に期待しているのは対ピヴォに対してのハードディフェンス」であることも強調していた。「国内屈指だ」という言葉を添えて。 小宮山監督のように相手ピヴォを封じて雄叫びを挙げることもなければ、ゴールを決めて両腕を突き出すガッツポーズを見せてもすぐに引っ込めてしまうような、どこか控えめな田中は、間違いなく今シーズンのブレイク候補生だ。