コロナ後に増えている「6月病」…孤立した心を支える「訪問看護ステーション」の取り組みと、ケアの意義とは
コロナ禍で加速した精神的な孤立
「自分の様子がおかしいと気づいたときに、精神科でいろいろ検索して訪問看護というものがあることを発見して、ご自身で相談を申し込んで来られる若い方が多いです」 いわゆる「6月病」が増えた背景には、コロナ禍が大きく影響しているはずだと中野さんはいう。 「家に閉じこもって、他人と接触しない生活を余儀なくされました。新入社員の方は、入社してからほとんど出社することなく、上司や先輩と直接かかわらないままリモートで業務をしていました。コロナが下火になって、さあ出社だ、リアルで仕事だ、電話応対だとなって、しかも周りにはリアルに上司や先輩がいるし、いつの間にか後輩もできて『君たちが先輩として仕事を教えてやれ』となったときに、パンクしてしまうんですよね。社会人1年生のときに、会社のオフィスで業務を経験できなかった人たちが、今いちばんしんどいのかもしれません」 中野さんは今後、企業にアプローチして予防ケアにも取り組みたいという。大きな企業には保健師が常駐していることもあるが、上司に知られるかもしれない不安から、なかなか相談に訪れないのが現状だとか。そういったところに訪問看護師が入って、こころを病む前に解決を図りたいとのこと。 もうひとつは、精神科の訪問看護師を増やすため、精神科の訪問看護ができる看護師を養成する学校をつくって、人材育成にも力を入れたいそうだ。 精神科医やカウンセラーとは違う、訪問看護師が相談に乗るメリットを、中野さんは次のように話す。 「昨今、精神科や心療内科の先生方はどうしても限られた時間の中で診察をしなくてはならず、細かなケアが難しい状況があります。カウンセラーはじっくり悩みを聞いて、会話の中で解決の糸口を一緒に探してくれますが、医療的はケアが出来ません。我々、訪問看護師は、1回あたりの訪問時間は限られていますが、ご自宅へ通うことで生活の中での困りごとや、具体的にどうすればいいかを把握して、医師の指示のもと投薬管理など、医療的ケアも含めて見ることができます」 ただ、お互いに人どうしなので、相性が合わないことはあり得る。医師、カウンセラー、訪問看護師それぞれの特性を知り、その時々で自分に合ったケアを探してほしいという。 「くるみ」ではスタッフの勤務時間を上手く割り振って、24時間365日いつでも相談に応じられる体制をとっている。 料金は、かかりつけの医師が必要と認めた人は医療保険が適用されるほか、自立支援受給者証をもっている人や生活保護受給者の場合などで異なるため、詳細は「くるみ」のホームページで確認してほしい。 (まいどなニュース特約・平藤 清刀)
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