【国際女性デー】食事だけでは…貧血は自覚しにくい、生理や子宮の病気と関係も
女性によくみられる貧血。疲れや立ちくらみなどがみられることもありますが、実は貧血に特有の症状はあまりないんだそうです。貧血は生理や子宮の病気などと関係していることもあるので、そのうち治るだろうと放置するのは危険。東京大学医学部付属病院産婦人科 平池修医師に聞きました。
■貧血、どうやったらわかるの?
Q:そもそも女性は貧血になりやすい? A:そうです。理由はいくつかあって、過度なダイエットや菜食主義などで、鉄分を含んだ食事をしていないとか、生理が毎月あるので血液を失う機会が男性より多いです。また妊娠出産の際には、胎児に鉄分を供給するため、貧血になりがちです。アスリートの食事制限などもあります。そして、そもそも血液中の鉄分や酸素を運ぶヘモグロビンの量が女性の方が男性よりも少ないんです。
■食生活の変化も影響
A:鉄分を多く含む食物としては、何が思い浮かびます? Q:レバーですかね。 A:食べます? レバー。 Q:いえ、あまり食べないです。 A:ですよね。レバー、ひじき、海藻など以前はよく食べていたが、生活が欧米化して油っぽいものが増えるなど食生活も大きく変わりました。厚生労働省の調査で、食事でどれほど鉄分を取っているか推計値でみると、1975年は14ミリグラム、今は7ミリ前後と言われています。食事を見直すのは、貧血改善策のひとつにはなるので、ひじきをおいしく食べるレシピとかあってもいい。朝食を抜くのは、それだけ鉄分を体に取り入れる機会を失っている。 Q:サプリはどうでしょう? A:サプリで補充するといっても、鉄だけをとればいいのではない。食事に代わる万能なサプリはないです。栄養バランスよく、広く色々なものを食べるのがいいとは言えますね。とはいえ、実は1日20ミリの鉄分を口から摂取しても、体に吸収されるのは1ミリとかなんです。食事でがんばってとろうとしても吸収されないのが問題です。 Q:そうなんですか? ではどうすれば? A:貧血かどうか知るには、健康診断で血液中の鉄分を測ることです。実は、貧血は自覚しにくいんです。症状として言われるのは、疲れる、集中できない、歩いていて急にふらふらするなどですが、たとえば「めまいがして倒れそうになる」という症状があると答えたのは、貧血の人のうち15%。こうした症状は、ちょっと疲れた時にもありそうなものですよね。症状から貧血を自覚するのは難しいんです。 Q:めまいがあるような人はもう重い貧血なんでしょうか? A:ずっと貧血だとこれらの症状がひんぱんにあって、順応してしまうことがあってわかりにくいです。医師が「めまいなどがありましたか」と聞くと、「よくわからない」という人が多いんです。一方、血液検査の数値で見ると貧血かどうかはっきりわかるので、会社員などは年1度の健診をうけて、それで貧血だとわかったら、病院に行くといいでしょう。もうひとつ鉄分についてとてもわかりやすい指標は、採血データのうち、フェリチンの量ですが、通常の検査ではあまり調べません。 妊娠したい女性は「プレコンセプションケア」といって妊娠前に異常がないかどうかを調べようという動きがあります。その一環で、生理の状態や貧血などを自ら把握するのは「たしなみ」のひとつかなと思います。