現存する唯一の「ベレー」ブランド「LAULHÈRE(ロレール)」が歴史を超えて愛される理由
ベレーは、メンズ、レディース、カジュアルにもモードにも、長年幅広く長年愛されているアイテムだ。ルーツを紐解いていくと「LAULHÈRE(ロレール)」というブランドに辿り着く、フランス・バスク地方[1]で唯一現存するベレーブランドLAULHÈREについて株式会社ベネクシー クリエイティブ/PRマネージャー 木村玲子さんにお話を伺った。
「LAULHÈREのベレーは1840年から製造がスタートします。日本でいうと江戸時代になるのですが、現存するベレーブランドでは最古のブランドになります。 創業者は毛織物商を営んでいたピエール・ロレールという人物で、1792年に『メゾン・ロレール』を設立し、最初はウールのストッキングを作っていたといいます。その後、息子のルシアン・ロレールが経営を引き継ぎ、ルシアンの結婚相手の生家、トルナベン家からノウハウを受け継いで、ベレーの製造を開始したというエピソードが残っています。 ピレネー山脈のふもと、オロロン=サント=マリーという街の素敵なロケーションに自社ファクトリーを持っており、8~9割の工程をいまだにハンドメイドで作っており、素材もフランスで調達しているので、完全Made in Franceでの生産を守り続けているブランドです」
ナポレオン3世、ピカソ、チェ・ゲバラが愛したベレー
ベレーについて実は知っているようで、そのルーツはわからないという人も多いのではないだろうか、続いてはベレーそのものの歴史について知っておこう。 「そもそもベレー自体がバスク地方で生まれたもので、羊飼いがみんなかぶっていたものなのですが、ウールは水が染み込みづらいので雨よけにしたり、暖かさもあるので風よけにしたり、ベレーを前に出し、ひさしのようにし、銃を撃つときの照準を合わせる用途などでも使われていて、羊飼いにとってはかなり実用的なアイテムだったそうです。 1850年代、ナポレオン3世がベレーをかぶったことで、ヨーロッパ各地にベレーが広がっていったといわれています。その後はピカソをはじめとする芸術家や映画俳優がベレーをかぶり、めぐりめぐってファッションとしてのアイテムになっていきました。 また、ファッションとは少し離れるのですが、チェ・ゲバラがベレーをかぶっているイメージが強いと思うのですが、あのベレーはLAULHÈREのものなんです。現代ですとジョニー・デップ氏が愛用していることでも話題になりました」