サラリーマン大家のアパート経営…「法人化」のタイミング、損益分岐点は?【税理士が解説】
損得はここでわかれる!法人化のベストタイミング
上記のように、法人で不動産を保有することにはメリットとデメリットがあるので、法人化の損得を簡単に結論付けることはできません。 ただ、個人的な意見ですが、所得の分散という観点や法人の維持コストを考えると、個人の課税所得が900万円(給与所得者の年収で1,100万円程度)を十分超えており、かつ、不動産を複数保有する予定がある場合には、法人化の恩恵を受けられる可能性があるのではないかと思います。 これは、所得税の課税所得が900万円を超えた部分の所得にかかる税率が43.693%(累進課税の税率+住民税)になりますから、法人税の税率のほうが低くなることを基準としています。 また、複数の物件を保有する場合、物件の賃貸や売却から生じた損失を、ほかの物件から生ずる利益と相殺することが可能です。そして、物件をいくつか投資する規模がある場合、アパート経営を続けるうえでの節税という面を優先して考慮するなら、法人を設立運営するコストを賄うことができると筆者は考えます。
個人の所得が高い場合には法人化の検討も…事前に専門家へ要相談
不動産賃貸の法人化はいくつかの手法があり、また、法人化自体にメリット・デメリットがある点を紹介してきました。 また、法人化の是非は、その人の状況次第で損得がわかれますので、慎重に判断する必要がありますが、個人の所得が高い場合には不動産投資の際に法人化することを検討してみる価値があると考えています。 法人化を検討されたい方は、ご自身の現状の所得と各種税制の制度をよくご確認のうえ、専門家に相談いただくことを強くお勧めいたします。 監修 小川 明雄氏 小川堀田会計事務所 税理士・公認会計士
アパート経営オンライン,小川 明雄