選挙を拒否する反政府デモ タイ政治の構造的問題
「『都市と地方』、『富裕層と貧困層』という開発途上国の典型的な対立が、タイでは『王室』という共通項でバランスが保たれていた。そのバランスが崩れる危険性がある。現国王の強力な政治権力は、政治的な要請として制度的に作られた部分と、現国王の個人的魅力により形成された部分の両面がある。王室が最終的な安全弁になるという政治システムをどう移行するかが問題だ」(前出・甲斐教授)。 プミポン国王も86歳を迎え、最近では入退院を繰り返している。「最終的な安全弁」が効かなくなったときに、民主主義の原則が守られるような社会が形成されていなければ、タイの政治は混沌におちいる。 「千日手」を止めるために残された時間は、長くはない。