北朝鮮からの思わぬ攻撃? 「ゴミ入り風船」の中身は、韓国側も対応にてんやわんや
ナムさん(67)も「破裂した風船の下には、ゴミや排泄物などが混ざっていたものがあった。ソウルにもあんなものが落ちていると思うと怖かった」と話した。 ■小学校など学校施設にも飛来 ソウル北部・蘆原区の中学校から5月29日午前11時55分ごろ、「正体不明の物体が落ちた」という通報があった。 学校内の工事現場で働いていたペクさん(65)は、「11時30分頃、ポンという音とともに風船が破裂し、ゴミが散乱していた」と話した。中学生のジ君(15)は「学校の運動場に正体不明のものがあって怖かった。『もし中に変な武器があったらどうしよう』と友達と会話した」と打ち明けた。
汚物風船は、鍾路区と蘆原区のほか、ソウル西部・麻浦区や国会議事堂がある永登浦区など、ソウル市内のあちこちで発見されている。 北朝鮮と軍事境界線で接する京畿道と江原道からも通報が相次いだ。5月29日午後2時ごろ、京畿道所在の予備軍訓練場をはじめ坡州や東豆川、平沢などで発見された風船の中には、肥料や電線と思われる物体が入っていた。江原道でも風船の残骸を発見したという通報があった。 軍事境界線から直線距離で250キロメートル以上離れた慶尚北道の永川でも、風船の残骸があるという通報があった。慶尚南道居昌郡の田んぼで、午前5時45分頃には全北・茂朱郡でも汚物風船が見つかった。
韓国警察庁によると、5月28日午後9時から5月29日午後5時まで、汚物風船に関する通報は全部で299件となった。 全国各地に飛来した汚物風船に市民が恐怖を感じたが、これに対応する行動要領といった案内などがなされなかった。 ■風船に化学物質が含まれていたら… 韓国消防庁は、汚物風船などの対南チラシは対空業務であるため、国民行動要領などを事前案内しないことを明らかにした。 韓国・行政安全省には危機管理対応マニュアルがあるものの、北朝鮮が韓国に向けて飛ばすチラシに関しては、広報や教育が最近は行われていなかった。