井上尚弥の追い風に乗る!ロンドン五輪銅メダリストの清水聡が“アジア”2階級制覇を狙う理由とは?
今回はロンドン五輪で共にメダルを獲得した“盟友”村田と2016年12月以来、2度目の競演リングとなる。村田にアンダーカードで試合に出ることをラインで伝えると「ワシのバーターか?」との返信。本音で付き合える2人だからこそのブラックジョークに「どっちがバーターかを教えてやるわ」とやり返したという。 村田はボクサーとしての進退がかかったブラントとの再戦になるが「先に勝ってあいつにプレッシャーをかけたい」と笑う。 追い風も吹く。プロとしてはジムの先輩であり、ボクサーとしてはアマチュア時代から旧知の後輩になる井上尚弥が、英国グラスゴーで行われたWBSS準決勝でエマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)に衝撃の2回TKO勝利をして大橋ジムを活気づかせている。 「尚弥の試合でジムもボクシング界も盛り上がっている。その波に乗りたい」 そして開催が危ぶまれていたボクシング競技が東京五輪で実施されることも決定した。オリンピアンの清水にとってモチベーションがアップする嬉しいニュースだった。 「なくなるかもしれないと言われていたので小さい頃からオリンピックを目指して頑張っていた選手が可哀そうだと思っていた。無事に継続することになって嬉しい。僕もオリンピックに出たことで、たくさんの出会いがあり、メダルを取ったことで誇りを持てた。それがプロでも生きている」 清水は2016年にプロ転向して以来、8勝8KO。世界挑戦への機は熟しているが、このクラスは交渉が簡単ではない。 今回スーパーフェザー級のローカルタイトルを取りにいくのも「世界挑戦のチャンスを広げるため」(大橋会長)。WBOアジアパシフィックのタイトルを獲得すると自動的にWBOの世界ランキングに入ることになるが、WBO世界同級王者は、日本時間26日に米国でV2戦を行う伊藤雅雪である。 大橋会長は「あらゆる可能性は否定しない」とも語るが、ターゲットは、清水が現在世界3位にランキングされているIBF世界フェザー級のタイトルだという。 現在のIBF世界フェザー級王者は、28戦無敗のジョシュ・ワーリントン(英国)で、6月15日に同級1位の同じく26戦無敗のキッド・ギャラード(カタール)と頂上対決を行うことになっている。ただワーリントンはフランク・ウォーレン、ギャラードはエディ・ハーンという英国を代表する2人の“やり手”プロモーターと、それぞれ契約しているため、どちらが勝っても挑戦交渉は容易ではない。そのため陣営は、清水をIBFが採用している挑戦者決定戦の路線に乗せ世界挑戦の道筋を切り開きたい考え。だが、世界挑戦の選択肢を他にも広げるため「清水のスーパーフェザー級の適性も確かめておきたい」というのが、今回のタイトル戦の狙いなのだ。 「いつでも世界へいけるという力を今回の試合で見せたい。チャンスがあればフェザーでもスーパーフェザーでもどちらでもいい」 オリンピアンの清水にとって縁の深い東京五輪イヤーに世界のベルトを巻くことができれば最高のサクセスストーリーとなる。