掃除中になくしたはずの「雇用保険証」を見つけました。今の雇用保険証と番号が違うのですが、放置して大丈夫ですか?「失業給付」で損をすることもあるのでしょうか?
個人番号や基礎年金番号など、個人に割り当てられた番号はいくつもあります。「雇用保険被保険者番号」もその1つです。こうした番号には、個人を特定する重要な役割があります。しかし、さまざまな事情で番号が複数振り出されてしまったらどうなるでしょうか。 本記事では、雇用保険被保険者番号を2つ以上持ってしまった場合について、放っておくと何か不都合があるのか、あるとすれば損害はどのくらいかなどを説明し、番号を統合する手続きについても紹介します。
雇用保険番号は1つだけ
雇用保険被保険者番号は、雇用保険の被保険者になると振り出される11桁の番号です。「9999-999999-9」のように「4桁-6桁-1桁」の数字で構成されています。 雇用保険被保険者番号は「1人に1つだけ」です。就職して雇用保険に加入したときに番号が振り出されますが、その番号を継続して使うことになります。原則として、会社を辞めても他の会社に転職しても番号は変わりません。 ■雇用保険番号が2つ以上になる原因 しかしまれに、雇用保険被保険者番号を複数持っている人がいます。その多くは転職回数が多い人のようです。転職しても同じ番号を使うのが原則ですが、雇用保険証の紛失などにより番号が分からなくなると、新規で番号が振り出されることがあります。 一般的には、手続きの際にハローワークの窓口で前職の会社名と在籍期間などを告げれば、コンピューターで雇用保険番号を検索してもらえます。そのため、番号が分からなくなるケースは多くありません。 ただ「前職を隠して入社した」など何らかの事情があると番号の検索もできず、新規で番号を取るしかなくなります。また、前職の退職から相当な年数がたっている場合は番号が消滅しているため、やはり新しい番号を取得することになります。 ■雇用保険被保険者番号が2つ以上あると損 「雇用保険の番号が2つ以上になっても、特に不都合はないだろう」と思う人もいるかもしれません。確かにそのまま放っておいても、罰則などはありません。しかし雇用保険被保険者番号が2つあるということは、雇用保険制度上では同じ氏名・同じ誕生日の別人が存在することになります。 「A社に10年間勤めた後、すぐにB社に転職し、1年経過して退職した」場合で考えてみます。そしてA社での雇用保険被保険者番号と、B社での番号が異なっているとしましょう。 この人が、もしB社を自己都合退職した場合、B社の在籍期間は1年であるため、図表1のとおりその失業給付(基本手当)の受給日数は「90日」です。 図表1