「桜の花は見られない」余命宣告された森永卓郎が独白 「延命にこだわらない私が月100万円の治療を受ける理由」 資産の終活のウラ側も
毎月100万円の自己負担
ただ、現金化には、もう一つ切実な動機もあった。私の現状の診断は「原発不明がん・終末期」というものだ。がんの本体がどこにあるか分からないから、手術や放射線治療、抗がん剤治療ができない。そのため、保険診療のオプジーボに加えて、血液免疫療法という自由診療を受けている。その自己負担が毎月100万円かかってくる。 私は、さほど延命にこだわっていないのだが、高額負担してでもやってきたのは、私のゼミ(獨協大学経済学部)の2年生に対する責任があるからだ。彼らの選抜は昨年、彼らが1年生のときに行っていた。ところが、昨年末のがん宣告で「桜の花は見られないだろう」と言われてしまった。つまり、今年の春学期から始まる授業を一度もできずに彼らを放り出すことになってしまう。それは、あまりに無責任だと思ったのだ。彼らに「モリタクイズム」を伝えるためには、最低半年間が必要だ。だから、どうしても半年間は生き残りたいと思ったのだ。
会社には大金があるが……
幸い、上級生たちの全面協力もあって、2年生はこの半年で大きく成長した。ただ、そうなると欲が出てくる。彼らの卒業まで、指導を続けたいと思うようになったのだ。そのためには、あと3000万円の医療費の支払いが必要になる。 実は、私の会社は大金を持っている。本の印税も、講演料も、すべて会社に入っているからだ。会社は、私にがん保険もかけていた。すでにがんの診断を受けたことで、数百万円の保険金も受け取っている。ただ、私はその会社から給料を受け取っているだけなので、個人としては、大きな所得がないのだ。会社から配当金を受け取る方法はあるが、累進課税になるので、莫大な税金を取られてしまう。 そこで、まず、これまでためてきた預金を一本化し、資産を売却することで、どれだけ支払い能力があるのか確定しようと私は動き始めた。3月のことだ。しかし、私は甘く見ていた。金融機関のリストがあり、本人が直接、金融機関に出向いたとしても、一本化や現金化には時間がかかることが分かっていなかったのだ。