東京ディズニーで「女子高生がタバコ吸ってます!」注意しようと近づいてわかった女性の正体
喫煙スペースとはいえ、よくもまあ制服姿でやるもんだ。そう思いながら、注意をしようと近づいた。 近づく途中で気づいた。化粧がケバい。彼女も気まずいのか目線をそらしてタバコをふかしている。 数メートルの距離まで行って確信した。女子高生ではない。どうやら女子高の制服のコスプレで来園しているゲストのようである。肌のツヤやシワなどから推測するに、実年齢はおそらく30代ではないだろうか。 「制服ディズニー」という言葉がある。高校などの制服を、すでに卒業した女子たちがおそろいで着込み、パークを訪れることである。 制服には特別感があり、おそろいコーデ(コーディネートの略)すると、SNS映えするらしい。私もテレビを観て知ったのだが、自宅から卒業した学校の制服を引っ張り出したり、持っていない人はコスプレショップなどで調達するという。 「『制服ディズニー』は最近始まったことではありません。インターネットで調べたところ、『制服ディズニー』という言葉が初めてメディアに出たのは、2008年10月の読売新聞に掲載された記事のようです」(東洋経済オンライン2017年7月8日「彼女たちはなぜ制服でディズニーに行くのか」鈴木朋子) どうやら伝統ある“行事”のようである。喫煙スペースの彼女もまさに「制服ディズニー」を楽しんでいた、というわけだ。 それに気づいた私は、喫煙スペースの周辺をチェックするふりをして、きびすを返して喫煙ルームを出た。制服姿の彼女はずっと素知らぬ顔をしていた。 それにしてもじつにまぎらわしい。彼女がもっと若々しければ、そうと知らずに厳しくとがめてしまうところだった。 ※以前あった喫煙所がなくなっている クリッターカントリーの一番奥にある屋外喫煙所がなくなった後にはよく聞かれた。ここはチュロスなどを売る店が近くにあり、周囲にテーブルとイスが配置されていた。喫煙所の煙が流れてきて、ときどきゲストからタバコ臭いという指摘があった。 ※喫煙ルーム 喫煙ルームの清掃を行なうのは20歳以上のキャスト限定。清掃する際は防塵マスクを着用するが、それでもタバコ臭くて嫌がるキャストが多い。私もそのひとりだった。 ※まぎらわしい キャストとして行きすぎた行為(バッドショー)だと思うが、年齢を証明してもらうため、免許証を提示してもらったことが一度だけある。
笠原一郎