北陸新幹線の敦賀―新大阪間延伸ルート選定が大詰め…財源や地元理解の行方は依然不透明
北陸新幹線の敦賀―新大阪間の延伸に向けて、詳細なルートの絞り込みについての議論が大詰めを迎えている。自民、公明の与党議員で作る整備委員会が4日、沿線の関係者からの聞き取りを始めた。年内のルート確定に向けて議論を加速させる構えだが、財源や沿線自治体の理解など解決すべき課題は多く残り、来年度の着工には視界不良が続く。(鈴木瑠偉、黒木健太朗) 【図解】北陸新幹線、新大阪駅のホームは地下にできる
■知事「国の発展に不可欠」
与党整備委が4日開いた会合には、福井県の杉本達治知事とJR西日本の長谷川一明社長が出席した。会合後に報道陣の取材に応じた杉本知事は、「延伸は国の発展に不可欠だ。着工に向けた議論を早期に解決してほしい」と訴えた。
敦賀―新大阪のルートは2016年、福井県小浜市を経由する「小浜・京都ルート」とすることが決まり、現在は京都市内の駅の位置が異なる3案が議論されている。
与党整備委は来年度末の着工に向けて手続きを急いでおり、13日に京都府などから意見を聞き取った上で、年内にも早急にルートを確定させたい考えだ。政府も25年度当初予算案に、工事に伴う地質や地下水などへの影響を調べる調査費を計上する見通しとなっている。
■最大5・3兆円
ただ、北陸新幹線の延伸工事の着工には、最大5・3兆円とされる財源の確保が課題となる。
北海道新幹線や九州新幹線なども含めた整備新幹線の建設費は、鉄道建設・運輸施設整備支援機構から施設を借りて新幹線を運行するJRが、鉄道収入で得られる利益の一部で負担し、残りは国が3分の2、沿線自治体が3分の1を支出するのが原則だ。4日の会合では出席者から「国土強靱(きょうじん)化に必要不可欠な国策新幹線で、国費で負担を」(杉本氏)など、地方負担の軽減を求める声が出た。
ただ、政府の財政は厳しく、新幹線関連の予算を大きく増やす余地は少ない。
財政制度等審議会(財務相の諮問機関)が11月末にとりまとめた建議では、新幹線の利用者の実績が開業前の予測を上回った場合、JRが貸付料を追加で負担する仕組みを導入することなどを求めた。貸付料が増えれば地方負担の軽減を図れるが、政府・与党内の議論やJR側との交渉が必要で実現は不透明な状況だ。