運動習慣による“天然のコルセット”で施術後は順調に回復【ひどい腰痛も8割治る】
【ひどい腰痛も8割治る】#22 「何もしなくても急に痛みが出ることがある。立ち上がった時や歩行する時にひどく、左のふくらはぎのしびれも出るようになった」(80歳男性) この方は16年前にも左臀部以下に激しい痛みが生じ、近くの整形外科を受診。脊柱管狭窄症と診断され、その治療に後方固定術を受けられたということです。 この固定術は、椎間板を一部摘出し、切除した椎間板の部分に人工物を充填したり、ケージと呼ばれる金具で椎間の安定性を保ったりした上で、固定したい椎骨の一部である椎弓に、ドリルで穴を開けスクリューを挿入。スクリュー同士をロットで固定し、その上からネジで固定し脊椎骨全体を安定させる方法です。 過去に背部肋骨骨折を経験、さらに緑内障と白内障、前立腺がんも患っており、現在、がん治療としてホルモン治療と放射線治療を受けているとのことでした。 それでも日ごろからプールで歩いたり泳いだりといった運動習慣があり、筋力の維持に余念がない。そんな生活スタイルによって、高齢でさまざまな病気を持っていても、QOL(生活の質)を保っていられるのだと思われます。 改めて診察すると、主病名は椎間板ヘルニアで、副病名は椎間板変性症という結果となりました。そしてこの腰の痛みは、もともと持っている痛みであり、治療する部分ではない可能性、さらには治療効果は限定的であり80%程度であることを説明した上で、椎間板セルゲル法を1カ所に実施しました。 幸いにも早くも1週間後には効果が表れたようで、治療したその日には痛みを訴えていた箇所が全体的に軽くなったとのことでした。そしてその改善の状況は月日を追うごとに良くなり、3カ月後には「順調です!」という喜びの報告をいただける結果となったのでした。 引き続き水中ウオーキングは積極的に行っているとのこと。腰痛予防の観点から筋力の維持とそのための運動は重要であり、腹筋や背筋は“天然のコルセット”であると、この方を通じて改めて確信したのでした。 特に水中ウオーキングはお勧めです。通常のウオーキングに比べ、水中のため浮力があり、足や腰に負担が少ない上に、短時間で運動量をしっかり確保できるためです。 しばらくして電話で連絡を差し上げたところ、ご本人はあいにく外出中。しかし奥さまから、変わりなく活動的に過ごされている様子を伺ったのでした。 (ILC国際腰痛クリニック東京・簑輪忠明院長)