「本を読んでも何も残ってない」…勉強熱心な人ほど犯しやすい、読書をするうえで「絶対にしてはいけないこと」
本を読んでいる「つもり」になっていた
今思えば、例えば科学史や政治史の観点から「進歩」について何らかの説明を加えるということもできたように思います。ですが、すっかり「読書愛好家」になっていた私の頭は、「その話は、どの本の何ページに書いてあっただろうか?」という発想しかできなくなってしまっていました。まるで様々な著者の主張を切り張りしたかのような頭の中身だったのです。 しかも人間の記憶力は脆弱なので、本に書かれている表現がどのようなものであったのかを覚えているわけがありません(終始「えーっと、あの本にはなんて書いてあったかな……」という状態です)。すなわち、このときになって、初めて私は「自分の頭で何かを考える」ということがまるでできないという事実に直面することになったのです。 それでは、私はその間、一体何をしていたと言うのでしょうか? さらに連載記事<アタマの良い人が実践している、意外と知られてない「思考力を高める方法」>では、地頭を鍛える方法について解説しています。ぜひご覧ください。
山野 弘樹(哲学研究者)