デビューから10年 出演作の途切れない榮倉奈々
映画『娚(おとこ)の一生』に主演している、女優の榮倉奈々。昨年、女優活動10周年を迎えた榮倉は、自らの女優人生でのターニングポイントを、映画『余命1ヶ月の花嫁』で組んだ廣木隆一監督とのタッグだと挙げる。その廣木監督との三度目の顔合わせとなった今回の作品では、新たな表情を覗かせて、女優としての順調な成長を伺わせる。女優デビューを飾った2004年の「ジイジ~孫といた夏~」(NHK)からの10年間は出演作に途切れがなく、風格は増すばかり。榮倉はこの10年を、どのように捉えているのだろうか。
デビュー当時は大人たちが怖かった
ファションモデルから女優業へと“転向”したのは16歳の時。「ジイジ~孫といた夏~」のヒロイン役をオーディションで勝ち取った。しかし撮影では涙の連続だったという。 「沢山の大人たちが私のために待っている感じが怖かったし、圧倒される事ばかり。責任を背負いながらも、思うように出来ない自分に悔しさがあった」と若かりし頃を思い出す。 一方で女優業に打ち込もうと腹を決めたかというと、そうとは言えない。「(女優業について)デビュー当時は深く考えていませんでした。『これから一生女優をやっていくんだ』と決心したわけでもなかったし、上手く区切りをつけられていなかった」と、打ち明ける。
朝ドラヒロインに抜擢も「現実逃避をしたかった」
それから4年後の2008年には、連続テレビ小説「瞳」のヒロインに抜擢された。ちょうどその頃、イギリスへ自身初の一人旅を実現させた。その理由は「現実逃避をしたかった」というもの。今となっては「何が嫌だったのかは覚えていない」と照れ笑いを浮かべるが「自分の中にモヤモヤがあって。 結局、明確な答えは見つかりませんでしたけど、そんな経験をしたことで、頑張ろうと思えた。自分が行動を起こさなければ何も生まれない事を知ったというか、それまでが他力本願過ぎた。甘えていたのかな」と、自らを律するきっかけになった。 一人旅で黙考した経験を踏まえて「撮影現場に立たせてもらう中で、自分の中で何らかの区切りがついた」と、16歳では得られなかった女優としての自覚が生まれた。それ以降の榮倉の経歴は、“挑戦”で括ることが出来る。実話ベースの『余命1ヶ月の花嫁』、社内イジメがテーマの「泣かないと決めた日」(フジテレビ)、遺品整理をテーマにした映画『アントキノイノチ』、15年間の純愛ミステリーを描いた「Nのために」(TBS)。時に映画『MIRACLE デビクロくんの恋と魔法』など恋愛王道系にも顔を出す。20代の女優としては珍しい振り幅の広さだ。