スペイン国王、泥と罵声浴びせられる 洪水被災地で住民の怒りの的に 死者200人超
【パリ=三井美奈】スペインのフェリペ国王夫妻が3日、200人以上が死亡した東部バレンシア州の洪水被災地を訪問した。支援の遅れに怒る住民が国王に泥を投げつけ、「人殺し」「帰れ」と罵声を浴びせる騒ぎになった。 【写真でみる】鉄砲水の被害を受けた通りで泥を取り除く人たち 騒動が起きたのは同州中部のパイポルタで、60人以上が死亡し、最も深刻な被害を受けた都市の一つ。公共放送TVEによると、国王が徒歩で被災地を歩くと数百人が取り囲み、警備隊ともみ合いになった。「なぜもっと早く来なかったのか。(10月29、30日の洪水から)4日もたっている」「何の防止策もとられなかった」と若者に詰め寄られると、国王は肩をたたきながら対話しようと試みた。レティシア王妃が泥を浴びた顔で、涙ぐむ女性を抱きしめる場面もあった。 3日にはサンチェス首相もパイポルタを視察中、住民に取り囲まれ、移動中に一部の車列の窓が割られた。国王夫妻と首相はそれぞれ別の被災地も訪問する予定だったが、中止になったという。洪水の死者は3日までに217人になった。