<歴史に挑戦・24センバツ明豊>/中 投手力の底上げ 「柱になる」奮起に成果 /大分
「技術やマウンドでの『間の取り方』など、投手力は去年のチームより落ちる」 捕手で主将の山内真南斗(2年)の率直な分析だ。今年の明豊は、左右に複数の投手をそろえ、昨秋の九州地区大会では4人の継投で勝ち上がってきた。だが、それは裏を返すと「柱になる投手はいない」(川崎絢平監督)ということだ。 【写真で見る歓喜の瞬間】歴代のセンバツ覇者たち 打線がつながれば、ある程度思惑通りに試合を運べるが、打ちあぐねるとリズムがつかめなくなる。熊本国府(熊本)に敗れた地区大会決勝戦がそんな展開だった。 地区大会1回戦の海星(長崎)戦でも課題は浮かび上がっていた。共に右投げの一ノ瀬翔舞(2年)と、エースナンバーの1番を背負う野田皇志(同)が継投したが、計11安打で7点を奪われ、打線の奮起がなければ、敗退の恐れもあった。 先発した一ノ瀬は直球に的を絞られ、持ち味とする変化球主体の打たせて取る投球ができなかった。三回までに4安打を許し、四死球を三つ出して降板。継投した野田は鋭い腕の振りから繰り出す最速142キロの直球が武器だが、八回までに6失点した。「低めは見切られて、高めに甘く入った球を狙われた」と語るが、制球などに課題を残した。 球速不足を痛感した一ノ瀬は、投球動作の際に右肩が下がる癖があったため、フォームの修正で球速アップを図る。一方、野田は、100キロ超のバーベルを使ったスクワットなどで下半身を強化。投球時の重心移動を見直し、球威を上げることを狙っている。 地区大会で準優勝に終わった後、川崎監督は「今のメンバーで勝てなかったので、また競争してもらう」と宣言。週末の紅白戦では、実力を見極めるため、さまざまな投手を試しては投手力の底上げを図る。 センバツに登録する投手陣について、川崎監督は当初「(地区大会を投げた)4人ありきではない」と語り、現有戦力に奮起を促した。その成果か、野田と一ノ瀬は「甲子園でも投げてもらわないと困る」(川崎監督)と言われるほどに仕上がってきているという。 残る投手枠は3人。地区大会でも登板した左腕の大堀羚斗(1年)や寺本悠真(同)らが激しい競争を繰り広げている。(敬称略)