地震の被災者に神棚 県神社庁、伊勢神宮の200体 転居や仮設住まいの家庭に
●「心のよりどころに」 富山県神社庁は能登半島地震で被災して神棚を取り外すことになった家庭に対し、小型の神棚を無料で贈呈する取り組みを始めた。神棚は伊勢神宮から進呈された200体で、住民の心のよりどころにしてもらおうと県内の神職が神社を通じて住民に贈る。 元日の能登半島地震以降、県内の神社には、自宅の損壊や液状化などによって引っ越しや仮設住宅での生活を余儀なくされた住民から「自宅の神棚を焼納(しょうのう)したい」との相談が相次いだ。転居先に神棚がなかったり、新改築によりこれまでの神棚が手狭になったりしたケースもあった。 各神社から報告を受けた県神社庁が、「県民の祈りの気持ちや伝統を継承していきたい」との思いから伊勢神宮に相談したところ、小型の神棚が送られてきた。 神棚は高さ31センチ、幅17・5センチ、奥行き6・5センチで、銘木として有名な「木曾ひのき」で作られている。正面には特別製の錺金具(かざりかなぐ)を取り付け、背面には「神宮」と書いた焼印を押した。正月に神棚で祭る伊勢神宮のお札「神宮大麻(じんぐうたいま)」を中に納める。 県神社庁の長岡芳典主事は「新しい生活を始める際に、神棚を置いて心の安らぎの場にしていただきたい」と話した。希望者には県内の神社を通じて配布される。問い合わせは県神社庁災害対策本部室=076(432)7390=まで。