農産物選果場⇔直売所を巡回「ミルクラン」 共同配送システムで売り上げ増
JAえちご中越は、管内の農産物直売所と選果場間を巡回して農産物を配送するトラック便を試験導入した。「ミルクラン」と呼ばれる効率的な配送手法で、広域合併でエリアが広がり、運営する直売所が増えたことを生かし、特産品を異なる地域の直売所へ運んで販売。直売所間で共通イベントを行った相乗効果もあり、売り上げが1割伸びるなど成果を上げている。 JAは2023年2月に4JAが合併して誕生し、現在は五つの直売所を運営している。各地域の特産品を管内全域にPRするとともに、各直売所の品ぞろえ強化にもつなげようと、23年度からミルクランを導入した。 県内有数の果樹産地・南蒲地域の果実を専用トラックで各直売所へ運んで販売する。現在は試行的な取り組みのため、月10便程度の運行。ピーク時には800キロの青果物を運ぶ。
情報、スキルを共有 程よい競争心も
9月からは日本梨、11月からは西洋梨「ル レクチエ」を運び、旬の色鮮やかな果実が各直売所の店頭を彩った。年末の贈答用や手土産用で好評を博し、リピーター獲得につながった。 11月は例年、売上高が伸び悩む時期だが、全店で数字を伸ばした。5店舗の売り上げは前年度比で約10%増、レジ通過者は同約7%増を記録した。 5店舗共通の販促イベントも開き、11月は「ル レクチエ解禁ですフェア」を実施。5店舗で合計7600キロを販売した。来店者からは「他地域の名産が最寄りの直売所で買えるのがうれしい」と好評だった。 JA直売交流課の山崎哲央課長は「直売所間のコミュニケーションが増え、情報と運営スキルの共有が進んでいる。程よい競争心も生まれ、職員の向上心につながっている」と話す。来年度からは委託出荷者の農産物の運搬も計画している。
<ことば> ミルクラン
共同配送の一種で、1台の車両で複数の配送元を巡回する方式のこと。配送コストや二酸化炭素(CO2)排出量を削減できるメリットがある。
日本農業新聞