不祥事や想定外の環境変化も踏ん張りどころ?…30代であえて「修羅場経験」を積んでおくべき理由【転職のプロが解説】
35歳を超えてからの転職は難しい…いわゆる「35歳転職限界説」を気にして、転職すべきか悩んでいる人もいるかもしれません。実際には35歳以上の転職数は増えており、この説も「昔話」と言われることが増えています。とはいえ、年を取れば取るほど即戦力性や高い専門能力、マネジメント能力などが求められることに変わりはありません。そこで本記事では、木村勝氏による著書『会社を辞めたいと思った時に読む セカンドキャリアの見つけ方』(ビジネス教育出版社)から一部抜粋し、30代が転職に向けてやるべき準備について解説します。 【早見表】年収別「会社員の手取り額」
30代になったら自分の「市場価値」を常にウォッチすること
30代では、会社を辞めたいと思っても思わなくても転職サイトに登録することは、基本中の基本動作と思ってください。なぜなら、30代という年代は、転職市場において最も人材として求められ転職オポチュニティが高まる時期であり、このチャンスをみすみす逃す手はないからです。 現在大手の転職サイトでのマッチングは、ほぼAIによって行われています。企業側が求める条件を要素に分解し、一方転職者側のキャリアも職種、業界などに要素化し、それをAIが自動的に結びつけます。自分の志向とは合わない求人情報が頻繁に飛んでくる場合には、転職サイトに登録したご自身のキャリアの棚卸しが不十分なことも考えられます。 ご自身の今までのキャリアや今後の希望を外の世界に提示し、それを外部の目で見てもらうことは重要です。転職サイトへの登録は無料ですので、転職する気がなかったとしても無料で外部からの客観的なキャリア診断をしてもらえていると考えるだけでも登録しない手はありません。
「ライフキャリアレインボー」の考え方
ライフキャリアレインボーという言葉を聞いたことがありますか。ライフキャリアレインボーとは、キャリア=職業とは考えず、キャリアを人生のある年齢や場面のさまざまな役割(ライフロール)の組み合わせと定義するキャリア理論です。 アメリカの教育学者、ドナルド・E・スーパーが1950年代に提唱しました。人は生涯にわたり、社会生活や家族の中において経験や役割を積み重ねていきます。その中で自己のキャリアを形成していくという考えです[図表1]。 30代という年代は、この役割が重層的に増えていく時期と重なります。結婚することによって、パートナー(配偶者)という役割が加わり、子どもが生まれることにより、親という役割が加わります。 30代からの「会社を辞めたい」においては、前もってこのように役割が増えていくことを計画に入れておく必要があります。 一般的にいって結婚前の時期でしたら、比較的自分の独断で「会社を辞める」ことを決めることができますが、家庭を持つとキャリアチェンジに関しては、多くの場合〝制約〟がついてきます。結婚後は、パートナーの意向も考慮する必要がありますし、子どもの教育環境の要素も考慮に入れる必要も出てきます。 関係者が増えれば増えるほどキャリアチェンジには慎重な対応が求められるようになることは常に頭に入れておく必要があります。ライフキャリアレインボーに関して付け加えると、従来は高校・大学で終了と考えられていた学生(=学ぶ人)という役割の位置づけも変わってきています。 学生時代の蓄積と会社に入ってからの社内研修のみで定年まで行けた時代は終わりました。「人生100年・現役80歳時代」には、常に学び続けることが必要であり、「学ぶ人」という役割は終生続きます。