「脳梗塞になったら1秒でも早く治療を受けないと危険」…救急対応のエキスパートが明かす、その瞬間に「行くべき病院」と「受けるべき治療」
その日からリハビリする
そうなると、脳梗塞を発症したとき、いかに素早く症状に気づけるかも重要だ。福島氏は「『FAST』つまり顔(Face)、腕(Arm)、言葉(Speech)、時間(Time)の4つで覚えてください」と言う。 「口元や目元の片側が歪む、どちらかの腕に力が入らない、言葉が出てこない、といった違和感があれば、一刻も早く受診してほしいと思います。脳梗塞では、特に顔や身体の左右どちらかに偏って症状が出ることが多いのも覚えておきましょう。 高血圧、糖尿病、脂質異常症や喫煙などで動脈硬化がある人は、もちろん脳梗塞のリスクが高くなりますが、もう一つのリスク要因が心臓です。 心房細動がある人や、心臓が弱っている人は血が淀んで血栓ができやすくなるうえ、心臓内にできた血栓が脳の血管に詰まる場合もある。脳の太い血管が詰まって広範な脳梗塞になることが多く、脳が急速にむくんでしまい、命にかかわります」 脳梗塞の発症を早めに察知でき、数時間以内に首尾よく治療を受けられればいいが、それでも発症者全体の8割では、何らかの後遺症が残るといわれる。近年、大きく様変わりしているのが、治療後のリハビリだ。 かつては「リハビリは病状が落ち着いてから」が常識だったが、福島氏は入院当日からリハビリを始めることを勧める。 「壊死してしまった脳細胞は回復しませんが、実は脳には、周辺にある脳細胞がその機能をカバーする『可塑性』という特徴があることがわかってきています。ですから、早めにリハビリを始めて脳を活性化させれば、より速く回復を促し、後遺症を少なくすることができるわけです。 当院ではリハビリの体制にも力を入れていて、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などの専門スタッフがSCUと連携し、入院後すぐに嚥下機能や手足の機能を回復するためのリハビリを受けられるしくみを整えています」 脳梗塞になって数時間以内に、どんな治療を受けられるかによって、その後の人生の幸福は大きく変わる。いまから心の準備をしておこう。 ……・・ 【つづきを読む】最初の「3時間」で生死が決まる…もし「大動脈解離」になったときの「ベストな対処法」 「週刊現代」2024年11月30日号より
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