「もし井上尚弥と戦わば――」。東京ドーム決戦を現地で見た世界バンタム級王者・中谷潤人に聞く!
中谷 意識はもちろんあります。対戦を期待する声がより多く聞かれるようになって、結果、将来的に実現することが理想的かなと思っています。 ――そういう声が高まっていけば、中谷選手に対して期待だけではなく、批判的な声も届くかもしれません。今はSNS等を通じて匿名で心ない発言も発信できて、世の中に広まる時代ですから。 中谷 そのあたりはつきものというか。意見は受け止めますし、多くのファンに期待していただけるように頑張らないとなと思っています。でも、自分のことは自分が一番理解しています。子供の頃から自分を信じ続けて、目標としていた世界チャンピオンになることができて、それを3階級で達成できた。やるべきことをコツコツと積み上げて今日まで来た経験が自分にはあります。 プロボクサーはどんな状況であろうと、強さを発揮することが大切。自分の軸がぶれないこと。それが強さだと思います。いろいろな意見が出て、自分自身も知ることになるかと思いますが、軸がぶれなければ突き進んでいけるかな、という気持ちはあります。 ――最後に。次戦(7月20日)に向けた意気込みを伺わせてください。 中谷 ロサンゼルスで(師匠の)ルディ(・エルナンデス)とも戦略を練って、どういう試合にしていくか、という所もありますが、より強さを見せてさまざまな可能性を期待していただけるような試合にしたいですね。「中谷はこんなこともできるのか」という、新たな技術の引き出しを見せられれば、より「おおっ」と驚いてもらえると思いますし。 ――勝ち方にもこだわる? 中谷 もちろんそうです。 世界チャンピオンを目指し、中学卒業と同時に渡った「第二の故郷」で、中谷は恩師ルディ・エルナンデスから今回何を学び、新たにどんな引き出しを身につけてくるのか。次戦は7月20日(東京・両国国技館)、指名挑戦者でWBC1位のビンセント・アストロラビオ(フィリピン)を迎え撃つ。 ●中谷潤人(なかたに・じゅんと) 1998年1月2日生まれ、三重県東員町出身。M.Tボクシングジム所属。左ボクサーファイター。172㎝。2015年4月プロデビュー。20年11月、WBO世界フライ級王座獲得。23年5月、WBO世界スーパーフライ級王座獲得。今年2月24日にはWBC世界バンタム級王座を獲得し3階級制覇達成。27戦全勝(20KO)。ニックネームは〝愛の拳士〟 取材・文・撮影/会津泰成