大谷翔平のスピーチが素晴らしい理由は?プロが解説する「ユーモアとジョーク」の大きな違い
2024年2月29日(日本時間3月1日)、大谷翔平選手の結婚発表は全世界に衝撃をもたらしました。SNSでは世界トレンド1位になり、結婚会見での「皆さんがうるさいので(笑)」という言葉も話題になりました。 【写真】ユーモアとジョークの違いとは。大谷選手のスピーチをプロスピーカーが解説 「大谷選手のスピーチは学べることがとても多くあります。あの結婚会見も見事でした」と語るのは、NYでプロスピーカー&戦略コンサルタントとして活躍する信元夏代さん。 信元さんは「日本生まれ日本育ち」にもかかわらず、国際スピーチコンテストではニューヨークの強豪を勝ち抜いて地区大会5連覇、TEDxTalkへの登壇などを経験し、世界で異文化コミュニケーションに関する基調講演に登壇しているプロスピーカーです。 2021年に全米プロスピーカー協会ニューヨーク支部の理事、さらに全米プロスピーカー協会ニューヨーク支部初のアジア人理事に就任。 そして2024年3月、スピーカー界のアカデミー賞とも言われ、保持しているのは世界で数百人のみという「CSP®」(Certified Speaking Professional)の称号を日本人で初めて獲得しました。 FRaU webでは、そんな信元さんが「伝え方」をブラッシュアップする方法を説く連載「伝え方を鍛える」を毎週月曜日にお届けしています。 連載5回目のテーマは「大谷翔平選手のスピーチから学ぶ、ユーモアとジョークの違いは何か」。スピーチやプレゼンにそもそもユーモアは必要なのか、スピーチにユーモアを入れる注意点は何か、についてお届けします。
そもそもスピーチにユーモアは必要?
ビジネスの場において、情報のエンターテインメントであるスピーチやプレゼンにユーモアは大切です。日本人のスピーチやプレゼンは、まじめ一徹で面白くもおかしくもない、早く終わってくれ、というケースが「あるある」ですが、アメリカのプレゼンやスピーチはユーモアにあふれ聞いていて飽きません。アメリカでプロスピーカーとして活動をしていると、いかにユーモアのセンスが大切か、身にしみて感じます。 ではなぜユーモアをスピーチに取り入れた方が良いのでしょうか。ユーモアをスピーチに取り入れることで得られる5つのメリットをご紹介します。 ---------- 1, 聴衆と深くつながる ユーモアほど、場の緊張をほぐしてくれるものはありません。特にスピーカーが何かの権威ある立場にあるほど、真面目くさって話さない方がいい。「笑いは沽券に関わる」というような古臭い考えはやめましょう。 ---------- ---------- 2, 聴衆の敵意をほぐす 中には、あなたの話に懐疑的だったり、批判的で敵対意識を持って「何とかアラを探してやろう」と聞いている人もいるかもしれません。特に、内容が物議を醸すような繊細な話題の場合や、都合の悪い知らせをしなくてはいけない場合、他にも、社長を前にプレゼンする場合など、緊張感を伴う状況下では、ユーモアを上手く使った方がいいでしょう。ユーモアによって、場の空気が和らぎ、敵対心が緩和されることは十分に期待できます。 ---------- ---------- 3, 興味・集中力を保つ ユーモアがあれば、聴衆を飽きさせることなく、長い時間でもスピーカーの話に注意を注いでもらうことができます。面白い話は、聞いていて時間が経つのが早い。これは経験があれば、誰もが納得することだと思います。 ---------- ---------- 4, 大切なポイントを強調したり、効果的に描写したりできる ユーモアを交えて話した箇所・トピックは、聴衆にいつまでも覚えていてもらいやすい。それがユーモアの特性です。不思議と人の心や記憶に残りやすいのです。 ---------- ---------- 5, 聴衆にあなたのことを覚えていてもらえる 人は、機転が効く人や、ウィットに富んだ人、一緒にいて楽しい人を覚えているものです。 ---------- しかしもちろん注意点もあります。大谷選手のスピーチを例に見ていきましょう。