〔NY外為〕円、154円台後半(19日)
【ニューヨーク時事】19日のニューヨーク外国為替市場では、ウクライナ情勢の悪化懸念を背景としたリスク回避の円買い・ドル売りが一巡し、円相場は1ドル=154円台後半となった。午後5時現在は154円64~74銭と、前日同時刻(154円65~75銭)比01銭の円高・ドル安。 ウクライナ侵攻を続けるロシアのプーチン大統領は19日、兵器の使用条件を示した核ドクトリン(核抑止力の国家政策指針)を改定し、大統領令に署名した。核攻撃の対象をウクライナを軍事支援する欧米にも拡大すると示唆した。ロシア国防省は同日、西部ブリャンスク州の軍事施設を狙い、ウクライナ軍が未明に米国製長距離地対地ミサイル「ATACMS」を撃ち込んだと発表。世界情勢の不安定化への警戒感が台頭する中、「安全資産」として円を買ってドルを売る動きが活発化。低調な米住宅関連指標の発表を受けた米長期金利の低下もドルを下押しし、円は午前はおおむね、153円台で強含みに推移した。 ただ、円買いの流れが一巡すると、ドルが買い戻される展開。ロシアのラブロフ外相が「核戦争の勃発を回避するためあらゆる手段を講じる」と述べたと伝わり、地政学リスクに対する過度の警戒感が和らいだ。さらに米連邦準備制度理事会(FRB)による追加利下げ観測の後退に加え、トランプ次期米政権の財政拡張的な政策がインフレを招くとの見方もドル買い地合いを支えた。 CMEグループのフェドウオッチによると、12月の連邦公開市場委員会(FOMC)での0.25%利下げ予想は約6割、金利据え置き予想は約4割となっている。FRB高官らの利下げに関する発言が注目される中、カンザスシティー連邦準備銀行のシュミッド総裁はこの日の講演で、大規模な財政赤字に対しては、FRBがインフレを抑制するために高金利政策を取らざるを得ないと警告した。(続)