尹大統領の逮捕状が失効したので「大統領代行の副首相を告発します」「公捜処トップは弾劾します」 気に入らない相手は全て告発・弾劾する共に民主党【1月7日付社説】
進歩(革新)系最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表が6日、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の逮捕状執行の白紙になったことを受けて「崔相穆(チェ・サンムク)代行の内乱行為について責任を問うべき」と語った。崔代行が警護処に尹大統領の逮捕状執行に協力せよという指示を出さなかったのは「内乱」だと決め付け、告発を検討するつもりだという。民主党議員らは、崔代行弾劾に続いて、尹大統領の逮捕に失敗した呉東運(オ・ドンウン)高位公職者犯罪捜査処(公捜処)長についてまで「弾劾の危機に直面するだろう」と言った。気に入らない相手は誰であろうと構わず皆告発し、弾劾する-というわけだ。 【写真】尹大統領の逮捕に失敗した呉東運・公捜処長
民主党は先に、韓悳洙(ハン・ドクス)権限代行も「憲法裁判官の任命を保留した」という理由で弾劾した。崔代行が憲法裁判官2人を任命したことで弾劾の話は鎮まったが、尹大統領の逮捕状執行が白紙になるや、再び崔代行を「告発・弾劾する」と脅迫し始めた。 戒厳以降、韓国の政治と経済は薄氷を踏むような状況だ。「代行の代行」体制で不確実性がますます大きくなった。なのに「代行の代行」まで告発・弾劾したら、どうなるのか。尹大統領を捜査している公捜処長まで弾劾したら、この事態はどこへ向かうだろうか。そんな心配がある中でもこうした無鉄砲な振る舞いを見せるのは、理解できない。突然の非常戒厳と大統領弾劾の後、韓代行体制で乗り越えていき、あんなことがあっても韓国の憲法体系は動いているという安堵(あんど)を国際社会に与えた。李代表と民主党は、これをあまりにも安易に突き崩している。 今の李代表と民主党は、李代表に対する各種の裁判結果が出る前に尹大統領を弾劾して大統領選挙を行う問題にのみ、血眼になっている。だが、物事には全て「程度」というものがあるべきだ。弾劾訴追という刃を振りかざし、自分たちの政権獲得の邪魔になるなら全てたたく、と飛びかかるのは、責任ある政治家・政党として決してやってはならないことだ。度を越した行いはいつか、逆風に遭遇することになる。