今も毎日視聴される東日本大震災の映像――業界トップ・テレ朝報道CHが伝える、YouTubeと防災の親和性
TikTokでは国内企業アカウント2位に
テレビ朝日が運営するYouTube公式アカウント『ANNニュースチャンネル(ANNnewsCH)』のチャンネル登録者数が2024年3月、400万人に到達した。ニュースだけを配信するチャンネルとして、同局の報道局 クロスメディアセンターが2009年9月に開設したANNnewsCH。他局のニュースチャンネルの約2倍の登録者数を誇るこのチャンネルの強みとは。 【写真】テレビ朝日YouTube公式アカウント『ANNニュースチャンネル(ANNnewsCH)』関連画像ほか(全7枚) マイナビニュースでは同部署所属で、社会部やアメリカ特派員、報道ステーションの担当を経て昨年7月からデジタル統括担当部長を務める山野孝之氏、報道局で20年間カメラマンを務め、2019年の夏からプロデューサーを務める佐藤俊輔氏にインタビュー。前編では、ANNnewsCHの強みや、最多再生数を記録している動画、そして、災害時に感じたニュースチャンネルの存在意義について話を聞いた。(本記事記載の登録者数は2024年4月現在)
■“スピード感”と“継続力”武器に登録者数400万人突破 ――まずは、ANNnewsCHがどんなチャンネルなのか、教えてください。 山野:テレビ朝日系列で放送した映像、ABEMA NEWSチャンネルで配信された映像のほか、チャンネルオリジナルのコンテンツも積極的に公開しているニュース専門のYouTubeチャンネルです。クオリティの高いニュースを素早く正確に届けること、再生数の伸びそうな動画だけを掲載するのではなく、視聴者の方にとって必要な情報を網羅することで、「ANNnewsCHを見れば、最新で正しいあらゆる情報が分かる」と思っていただけるチャンネルになることが目標です。
――ANNnewsCH の登録者数は、他局のニュースチャンネルと比べてダブルスコアの差をつける400万人という数字を誇っています。ずばり、その秘密を教えてください。 佐藤:チャンネル開設、ライブ配信スタート、ABEMA NEWSが速報したニュースの配信、ショート動画への注力、コミュニティ機能への取り組みなど、いずれも一手ずつ早かったという“スピード感”が大きいです。あとは、最初はなかなか登録者数が伸びなかったのですが、諦めずに続けてきたという“継続力”も。僕がこの部署に来る前の、先人たちの頑張りですね。 ■ショート動画にも注力 若いユーザーとの接点に ――ショート動画といえば、横サイズの動画が自動で縦動画に変換できるシステム「ヨコタテくん」を開発して活用しているとか。 佐藤:中国赴任時に、ショート動画の成長を見ており、いずれは日本でも流行ると感じていました。とはいえ、ダンス動画やエンタメ色の強いコンテンツ限定だと思っていたのですが、試しにいくつか掲載してみると、ニュース動画も需要がありそうだと実感することができて。ショート動画にも注力することを決めて“インフラ”整備のためにGoogleが先進的なトライアルに資金援助する「Googleニュースイニシアティブ(GNI)イノベーションチャレンジ」に「ヨコタテくん」を提案、採用されたことで システム開発に至りました。 ――労働力の面でかなりコストカットになったのでは。 佐藤:これまでは一人ひとりの手作業で縦動画を横動画に作り変えていたのですが、「ヨコタテくん」のおかげで1本数十秒から2、3分、5分の1ぐらいのスピードで作れるようになりました。横の動画を縦に編集し直す作業が システム化されたことで、クリエイティブな仕事により時間を割けるようになったので、スタッフのモチベーション向上というメリットもありました。ショート動画の本数も担保でき、運用しているTikTokの『テレ朝news【公式】』アカウントは、登録者が420万人まで伸びました。実は、国内の企業アカウントの中で2位の規模なんです。 ――テレビ局のニュースアカウントという枠ではなく、企業アカウント全体の中で660万人のポケモンや、320万人のサンリオと肩を並べての上位とはすごい数です。 佐藤:地上波の視聴者は上の年代の方が多いので、TikTokやYouTubeショートで若いユーザーと接点が持てるということも、テレビ朝日として大きな意義があります。 ――若いユーザーの方が多いことで気をつけている点は。 佐藤:「若い人にはこういうニュースがいいんじゃない?」と思っていた動画が伸びなかったり、「これは刺さらないよね」と思っていた動画がたくさん見られたりしたので、思い込みでニーズを決めつけないことが大事だなと。災害の企画や解説系の記事も含め、誠実にニュースを配信しています。