今も毎日視聴される東日本大震災の映像――業界トップ・テレ朝報道CHが伝える、YouTubeと防災の親和性
――続いて、強みとして挙げていただいたABEMA NEWSとの連携についても教えてください。ABEMA は2016年にサイバーエージェントとテレビ朝日が始めたサービスで、ABEMA NEWSチャンネルでは、ニュースを配信し続けていますよね。 佐藤:テレ朝も含め、各局がYouTubeにニュースチャンネルを開設し始めた頃は、地上波の朝、昼、夕方のニュース番組の時間に合わせて配信するのが一般的でした。一方でABEMA NEWSは、24時間、リアルタイムで速報をどんどん世に出していくという日本のテレビ局にはあまりないスタイルで動いていて。ABEMA NEWSのチームと密接に連携し、『ABEMA NEWS』で使用した映像も掲載できるANNnewsCHは、他局よりも早く速報を取り扱うYouTubeチャンネルになれたんです。
反響のあった動画を3本紹介
■YouTubeの利点活かし防災意識高めたい ――これまで手掛けた中で、印象に残っている企画や動画を教えてください。 佐藤:クロスメディアセンターに異動して最初に手掛けた「まいにち防災~災害を知り 命をまもる」という企画です。地上波のオンエアではほんの少ししか使われなくても、記者やカメラマンの手元には膨大な時間をかけた取材・撮影の記録があって。その中にもぜひ知ってもらいたい、伝えたい情報が大量にあるので、何か有効活用できないだろうかとカメラマン時代から考えていました。テレビで使用する場合には、放送に合わせて編集し、わかりやすくコンパクトにするのですが、YouTubeでは、30分撮り続けたものをそのまま全部見せてもいい。この利点を一番活用できると思ったのが災害。災害が起きたとき、どう始まって、どう広がっていくのかをすべて見せることで、将来の命を守る行動につながればというコンセプトで「まいにち防災」を立ち上げました。 たとえば東日本大震災の津波では、地震が起きてカメラマンが撮影を始めるわけですが、ノーカットの映像を見ると、何分後に津波が来て、何分後に街に被害が及んで、と、災害が進むスピードがすごく分かりやすい。このサイトでは、カレンダーや地図、「地震・津波」、「台風・大雨」、「大雪・寒さ」などのソートで過去のさまざまな災害時の動画を見ることができるようになっています。たくさんの方に見ていただけて、役に立ったと実感できました。