「メディア業界は連携を」 ハースト婦人画報社が脱炭素に向け呼びかけ
メディア業界に統一規格を
WWD:メディア企業として脱炭素に取り組む意義とは?
池原:一般的な事業会社とメディアの大きな違いは発信力だろう。特に脱炭素は、多くの人の行動変容が求められる。当社のサステナビリティの取り組みの柱の1つとして掲げているのが、「エデュケーティング・ザ・パブリック」。読者にきちんとした情報をお届けし、当社のコンテンツに触れる多くの人たちに気付きのきっかけを作ることが力の発揮どころだと思う。
WWD:メディア業界全体ではどのような連携が必要だと思う?
池原:カーボンフットプリントの算定を実施して感じたのは、統一規格の必要性だ。計る側もいちから情報を集めるのは非常に手間と工数がかかるし、算定値を受け取る消費者の混乱も招きかねない。業界として足並みをそろえる必要性を強く感じた。現在全雑誌で算定数値の開示を始めたが、おそらくその数字の意味まで理解している読者は少ないだろう。それでも雑誌の製造に二酸化炭素が発生していることを知ってもらうことに意味がある。
WWD:理想は?
池原:社長のフロケが掲げている標語は「ビルド・トラスト」。有象無象な情報が錯綜する世の中において、当社は消費者にとって信頼のおける発信拠点でありたい。サステナビリティの分野でもグリーン・ウォッシュをしないよう社員教育に力を入れているところだ。当社としてもできる努力を進めつつ、透明性のある信頼できるメディアからの質の高い情報を発信していきたい。面白いのは、社外向けの勉強会などのイベントを開くと媒体の枠を超えてみんなで力を結集しようという姿勢を感じる。当社としても、積極的にメディア間の連携を生み出していきたい。