乗用車用よりもハイテク! 知られざるトラック用ドライブレコーダーの中身
90%以上のトラックがドラレコを装着
近年、普及率が飛躍的に増加傾向にあるドライブレコーダー。多くがメーカー純正ではなく、後付けとなるアフターマーケット経由で販売されているにもかかわらず、自動車全体では普及率が50%を超えたといわれている。事業用車の普及率はバスが約95%であり、タクシーも90%近くあった(国土交通省2020年調査)。一方、トラックは2012年に約75%(公益社団法人全日本トラック協会調査)であったものが、2017年には90%を超えている(公益財団法人日本自動車輸送技術協会調査)。 【画像ギャラリー】会話だってできちゃう最新ドライブレコーダーの世界 この飛躍的な普及率の背景には、安全面・防犯面を重視した国の政策(補助金・一部義務化など)によるところもあるが、2019年に発生したあおり運転による死亡事故が、大きなインパクトを与えたことは間違いない。また、事故に遭遇する確率の高いトラックなどの事業用車は、運行管理面の必要性に迫られたという事情もあるだろう。 このような状況の下、ドライブレコーダーはカーメーカー系電装会社・カーオーディオメーカー・レーダー探知機メーカーを中心に、国内外の電装メーカーが参入する大きなマーケットを形成し、多くの製品が市場にあふれることになったのだ。
電圧には注意が必要
基本的に、ドライブレコーダーはカメラ本体と配線を中心に構成されていて、どれもが同じように見える。しかし、トラックの場合は仕様を確認した上で購入しなければならない。まず気を付けるべきは電圧である。多くの機種は12V/24V兼用になっているが、12V専用タイプもあるので注意が必要だ。この場合、DC/DCコンバーターで車両の電圧を下げれば、使えるようにすることができる。 この12V専用タイプはとくにそうだが、ドライブレコーダーは乗用車仕様になっているものが多い。トラックの場合、箱車などではキャビンから後方を直接見ることができないので、360°カメラやワンボディ2カメラタイプのものはあまり意味をなさない。分離型の2カメラタイプでも、配線の長さや防水(乗用車は室内に配線・設置する)を確認する必要がある。やはり、トラックにはそれに適した機種を選ぶことが望ましいといえよう。 トラック向け(業務用)ドライブレコーダーとして人気なのは、ユピテルの「BU-DRHD645T」だ。特徴的なのは広い画角である。トラックは車幅が広く、フロントガラスが大きい。さらに、前に突き出たボンネットがない。そのため、少なくとも対角画角160°程度、水平画角130°程度、垂直画角70°程度あることが望ましいとされ、同機種はそれらをすべてクリアしているのだ。さらに、全長の長いトラックにも対応できるように、後部カメラのケーブルは8mのものが付属。オプションでは、18mのものが用意されている。 また、ジェットイノウエが販売している「チームスマートレコーダーTSR-T4」は、GPSアンテナがオプションで用意されており、記録されるデータ・日時の自動補正や、走行中の車両速度の記録を行なえるのだ。 業務用ドライブレコーダーは、万一の事故を記録するというだけではなく、それを未然に防いで安全性を高めるために、記録内容の正確性と詳細化が求められるようになった。そこで、ブレーキ・方向指示器などの作動記録に加えて、運行状況を記録するデジタルタコメーターとの連携や、記録データの集約システムも導入されてきている。 また、防犯のために駐車中の監視機能の充実や、運転中のドライバーの状態確認機能との連動も実用化するなど、まさに最新のテクノロジーが集約された状況にある。業務用ドライブレコーターの分野から、今後ますます目が離せなくなっていきそうだ。
トラック魂編集部