「光る君へ」まひろ、道長、定子…華やかな衣装にみる“平安時代の装束”をプロが解説
大河ドラマ「光る君へ」の舞台は 平安時代。『源氏物語』の作者・紫式部の愛と情熱の物語が展開されているなか、その華やかな衣装に注目。ドラマの場面写真をもとに、そのイメージ元とされる平安装束について解説します。
【五節舞姫の装い】紫式部(まひろ)役/吉高由里子さん
役どころ:『源氏物語』の作者。学者の家系の下級貴族である父・藤原為時のもとで文学の才能を育みます。幼いころに知り合った藤原道長への思いを胸に、その文才を『源氏物語』に結実させていきます。 【衣装】 写真は「五節(ごせち)の舞」と呼ばれる宮廷行事で、他家の姫たちと舞を舞う場面です。その装いは「五節舞姫装束」として現代にも継承されていますが、ドラマ中のこの衣装は十二単に近い装いをベースに、頭には「宝髻(ほうけい)」と呼ばれる髪飾りをつけています。宝髻は、十二単よりもさらに厳かな装いである「物具(もののぐ)装束」に用いられたものです。
【公家武官束帯の装い】藤原道長役/柄本 佑さん
役どころ:平安の貴族社会で、最高の権力者として名を遺した男性。名門、藤原北家(ほっけ)に生まれ、兄の道隆、道兼の陰で、一見目立たない、しかしどこか光るもののある青年貴族に成長します。やがて思わぬ事態が重なり、若くして政権の中心に躍り出ることに。 【衣装】 このころの道長はまだ国政に関わる立場ではなく、従五位下(じゅごいのげ)・右兵衛権佐(うひょうえのごんのすけ)という官位に就いていました。写真の衣装は、朝廷に出仕するときの服装である束帯(そくたい)のうち、軍事・警察を担当する武官の装いをイメージしたものと思われます。最も表に着ている袍(ほう)は、五位の位階に定められた緋色で文様が入っています。冠は後ろの纓(えい)を巻き上げて活動しやすくした巻纓冠(けんえいのかんむり)と呼ばれるもので、武官の象徴的な冠です。
【公家女房の普段着】藤原詮子(あきこ)役/吉田 羊さん
役どころ:道長の姉。円融(えんゆう)天皇に入内し、父の望みどおり皇子をもうけます。その懐仁(やすひと)親王(のちの一条天皇)を溺愛、成人しても常に寄り添い、次第に宮廷での勢力を増していきます。