飲み水の規制「据え置き」に。根拠はなぜか8年前の海外のデータ…世界から取り残される日本の実態とは
「科学的確実性の欠如を対策を延期する理由にしてはならない」
いずれにしても、今回示された、「合計50ナノグラム」を基準値とする方針は、来年はじめにも開かれる水質検討会を経て正式に認められる、と見られる。 「環境と開発に関するリオ宣言」(1992)は、次のように謳っている。 <深刻な、あるいは不可逆的な被害のおそれがある場合には、完全な科学的確実性の欠如を環境悪化を防止するための(略)対策を延期する理由にしてはならない> PFASの危険性についての評価が歴然と異なる欧米から取り残されたまま、日本は独自の「安全」を信じ続けるのか。「ガラパゴス化」した先にある未来をだれが守るのだろう。 筆者:諸永裕司(もろなが・ゆうじ) 1993年に朝日新聞社入社。 週刊朝日、AERA、社会部、特別報道部などに所属。2023年春に退社し、独立。著者に『葬られた夏 追跡・下山事件』(朝日文庫)『ふたつの嘘 沖縄密約1972-2010』(講談社)『消された水汚染』(平凡社)。共編著に『筑紫哲也』(週刊朝日MOOK)、沢木耕太郎氏が02年日韓W杯を描いた『杯〈カップ〉』(朝日新聞社)では編集を担当。アフガニスタン戦争、イラク戦争、安楽死など海外取材も。スローニュースで『諸永裕司のPFASウオッチ』を毎週連載中。(https://slownews.com/m/mf238c15a2f9e) (ご意見・情報提供はこちらまで pfas.moro2022@gmail.com)
諸永裕司