トランプ関税恐るるに足らず、単なる「駆け引き」と資産運用幹部ら認識
(ブルームバーグ): トランプ次期米大統領が広範囲にわたる関税引き上げを示唆しているが、これは交渉戦術に過ぎないというのが、世界的に影響力のある一部マネーマネジャーの共通見解だ。
ブルームバーグが10日にロンドンで開いた「女性とマネー、権力」と題するイベントで、フランクリン・テンプルトンのジェニー・ジョンソン最高経営責任者(CEO)とグッゲンハイム・パートナーズ・インベストメント・マネジメントのアン・ウォルシュ最高投資責任者(CIO)が登壇した。
ウォルシュ氏は「実際に広く関税が引き上げられるのではなく、まだ交渉上の駆け引きに過ぎないというのが私の見立てだ」と発言。ジョンソン氏も「もっと対象を絞ったものになるだろう」と同意し、そうした措置は「インフレ的」な影響を伴う傾向があると付け加えた。
トランプ氏の政策アジェンダが与え得る影響については、トレーダーやアナリスト、地政学の専門家などによって幅広く精査されている。関税引き上げや貿易戦争の可能性を踏まえ、どのように資産を分散するのが最善かはじき出そうとしている。トランプ氏は大統領選挙運動で「アメリカ・ファースト」の政策を繰り返し主張したものの、かつて懸念されていたほど深刻な打撃を及ぼすことはないとマネーマネジャーらは考えているようだ。
ロックフェラー大学で約25億ドル(約3800億円)の基金運用を担うポーラ・ボレント氏も同じ見解だ。同氏によれば、同氏を任命したロックフェラー大学理事会の投資委員会委員長は、トランプ氏が次期財務長官に指名したスコット・ベッセント氏が兼任していた。
同氏のチームはインフレに強い資産をポートフォリオに加える方向で検討しているが、「スコットとトランプ氏は恐らく関税を交渉材料として使うつもりだろう」とボレント氏は話した。多くが心配するほど「悪い事態にはならないと思う」という。
同氏はまた、最近の香港出張でプライベートマーケットのマネジャーらと関税について長時間話したところ、彼らは関税引き上げに神経を尖(とが)らせていたと述べた。